たま)” の例文
史料袋や耳袋に入れた素材は、かくてだいぶたまったが、本文のほうはなかなか意のごとくにすすまない。(二七・一二・七)
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「だから貯金をなさいよ。貴方は喰道楽だから、お金がたまらないのよ。毎月五円宛貯金をなさいよ。そしたら、今年の秋迄には、大島が出来るわ。」
大島が出来る話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
いえは焼けてしまってえのですから、国へ帰りいえを建て、田地を買い戻し、馬の二ひきも買うには三百両では足りねえようでがんす、それだけたまった金ではあるし
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
中には五百円も六百円も貯金している人もあるけれど、何ののってたまったかと思うとやっぱり駄目になるんですとさ。だからわたしなんぞ貯金なんかした事はないわ。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
今日も御留守に米屋の親父おやぢが来てたまつた米代の催促をするやら、それに炭屋や質屋の……
名工出世譚 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
そりゃア稼げばかねたまるが、かねを蓄めるような心じゃア駄目だ、わしア蓄らないようにする積りだ、なんでもかねエ蓄めて油断をしてはなりやせん、これかね宜く聞け、おらア見ろ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
多「でかたまりやしたなア、そうは蓄るめえと思いやしたが、えれえもんでがんす」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)