彈丸たま)” の例文
新字:弾丸
「そんな馬鹿なことを考へて居るわけぢやない。下手人は鐵砲を何處から撃つたか、それが知り度いんだ。どんな彈丸たまが、どう拔けたか」
君の我身を愛し給ふをば、彼の不幸なる日の夕に、彈丸たまのベルナルドオを傷けし時、君が打明け給ひしに先だちて、私はさとり居り候ひぬ。
たとへば鐵砲てつぽう彈丸たま遠方えんぽうばす原因げんいん火藥かやく爆發力ばくはつりよくであるが、これを實現じつげんせしめる副原因ふくげんいん引金ひきがねはづ作用さようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
もう澤山だ! 銃から彈丸たまが出るやうに何もも一時に出てしまふのだ。ウッド、本を閉ぢて法服はふふくを脱ぐがいゝ。ジョン・グリイン(書記に)、會堂を
なに左樣さうでない、このじう泥土どろと、松脂まつやにとで、毛皮けがわてつのやうにかためてるのだから、小銃せうじう彈丸たまぐらいでは容易ようゐつらぬこと出來できないのさ。』とわたくしなぐさめた。
棄てぬ命ぞ、彈丸たまを潛りて。
従軍行 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
早やらずいくさも、彈丸たま
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
とんと彈丸たまを忘れた
小さな鶯 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
するのに、默つて入ると、あれ、あのやうに、鉛つ彈丸たまが飛んで來ますよ。今のは私がチヨツ介を出して、危ないところで狙ひをらせたけれど
鐵砲てつぽう彈藥だんやく裝填そうてんしてあれば引金ひきがねはづすことによつて彈丸たま遠方えんぽうぶが、もし彈藥だんやく裝填そうてんしてなくあるひたん彈丸たまだけめて火藥かやくくはへなかつたなら
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
私は、舌病ぜつびやうに罹つたひよつ子の翼のやうに弱々しくつて、蒼ざめた哀れな相手の片腕に彈丸たまを一つ見舞つて來ました。そしてこれですつかり縁を切つてしまつたと思つたのでした。
我はさる書をも作らざるべく、又君等が夥伴なかまにも入らざるべし。男。さて/\強情なる人かな。されどその強情は憎くはあらず。我彈丸たまの汝が胸を貫かんまでも、その心をば讚めて進ずべし。
昨夜ゆふべの鐵砲は、柱に當つた彈丸たまの樣子から見ると、屋根の上か、庭の松の木の上か、廊下の向うにある、納戸の二階からつたとしか思はれないが」
たとひ幾度いくど引金ひきがねはづしても彈丸たまけつしてさない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「それから蘭法の醫者が來たら、きずの中にもぐつて居る彈丸たまを取出して貰つて、撃ち込まれた彈丸の方角を調べてくれ、右から撃つたか、左から撃つたか、眞つ直ぐか」
あの晩半兵衞が一杯飮んで、きうゑられてウトウトするのを見ると急に殺す氣になつたのだらう。隣の離屋には煙硝えんせう彈丸たまも込めて先刻半兵衞が武家に見せた見本の鐵砲がある。
彈丸たまは障子の穴に關係なく間違ひもなく心の臟を打つて、その中に留つたことでせう、背中へは打ち貫きませんが、胸から懷中へ浴びた血はひどかつたらしく、着換へさせたあはせを見て
「證據は澤山ある。欄間の障子は少しげて居るし、火鉢には揉み消した短かい火繩が埋めてあつた——主人の胸の傷跡きずあとや、柱の彈丸たまの跡は、納戸のはりから撃つたにしては、勾配こうばいが少し違ふ」
緞子どんすの夜具を少し踏みはだけ、天鵞絨ビロードの枕を外して死んでゐるのは、五十前後の脂切つた男で、おびたゞしい血潮を拭いたあたりには、首筋から胴へ撃ち込んだ彈丸たまの跡がマザマザと見えて居ります。
廊下の先の納戸のはりに、——柱にもたれて酒を呑むくせのある——主人の三七の胸のあたりに覗ひを定めて、彈丸たまをこめた鐵砲を縛りつけ、線香一本で、何時でも三七を殺せるやうな仕掛けをしたが