“遠方”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
えんぽう56.5%
をちかた13.0%
おちかた11.5%
ゑんぱう9.2%
とおく1.5%
えんぱう1.5%
とほち1.5%
ゑんぽう1.5%
さき0.8%
おち0.8%
とほく0.8%
ゑんはう0.8%
ゑんほう0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
遠方えんぽうへ、およめにいってしまわれたのよ。」と、おかあさまも、そのむすめさんのことをおもされたように、ほそくしていわれました。
青い花の香り (新字新仮名) / 小川未明(著)
遠方をちかたは雨雲に閉されて能くも見え分かず、最近まぢかに立つて居るかしはの高さ三丈ばかりなるが、其太い葉を雨に打たれ風に揺られて、けうときを立てゝ居る。道を通る者は一人もない。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
時雨しぐれの通りこせし後は林のうちしばし明るくなりしが間もなくまた元の夕闇ゆうやみほの暗きありさまとなり、遠方おちかたにてつつの音かすかに聞こえぬ。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
かしましき田畑たはた人聲ひとごゑと(あいちやんのつてる)へんじました、——遠方ゑんぱうきこゆる家畜かちくうなごゑは、海龜うみがめ重々おも/\しき歔欷すゝりなきであつたのです。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
『わざわざ遠方とおくからあまたの軍兵つわものひきいて御出征おいでになられるようなことはありませぬ……。』橘姫たちばなひめはそうっしゃってられました。
『モ一度いちど合唱がつせうを!』とグリフォンがさけびました、海龜うみがめがそれを繰返くりかへさうとしたとき丁度ちやうど、『審問しんもんはじめ!』のさけごゑ遠方えんぱうきこえました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
らぬ遠方とほちのさすらひは
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
數日すうじつ以來いらいかぜは、隨分ずいぶんすさまじいものであつたが、颶風タイフンつねとして、輕氣球けいきゝゆう幾度いくたびおなそらまわされてつたやうだから、左迄さまで遠方ゑんぽう氣遣きづかひはない、わたくしかんがへでは
いよいよ配る段になると、聞き伝えて十町遠方さきからも貰いに来て、半時間経つと、一袋も残らず、葬礼人夫は目がまわった。
婚期はずれ (新字新仮名) / 織田作之助(著)
ここへ来るなり睡たさに、小犬のように垣の根に眠ってしまった乙若を揺り起して、三人の母はまた、まだ遠方おち此方こちに残る雪明りを頼りに、何処ともなく立去った。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きゝ付見には出ましたがこはさは怖し遠方とほくうかゞつて居しのみにて漸く少ししづまりし時三五郎重四郎兩人の聲が致すゆゑそば立寄たちより夫よりみぎ死骸はよんどころなく頼まれて火葬くわそうに致しましたれど勿々なか/\以て手傳てつだひなどは決して致しませんもつとも其節の手續てつゞき斯々かく/\云々しか/″\なりと委細くはしく申立ければ大岡殿段右衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いゑ中々なか/\そのやうに遠方ゑんはうことばかりでは御座ござりませぬ、追々おひ/\にと衣紋ゑもんいて咳拂せきばらひすれば、小間使こまづかすこかほあかくして似合頃にあひごろうへ惡口わるくちふくなにすやらと尻目しりめにらめば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
遠方ゑんほう左遷させんことまり今日けふ御風聽ごふいてうながらの御告別いとまごひなりとわけもなくいへばおたみあきれて、御串談ごじようだんをおつしやりますな
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)