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遠方
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えんぽう
ふりがな文庫
“
遠方
(
えんぽう
)” の例文
「
遠方
(
えんぽう
)
へ、お
嫁
(
よめ
)
にいってしまわれたのよ。」と、お
母
(
かあ
)
さまも、その
娘
(
むすめ
)
さんのことを
思
(
おも
)
い
出
(
だ
)
されたように、
目
(
め
)
を
細
(
ほそ
)
くしていわれました。
青い花の香り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
だから儂は、すくなくとも毎週一度は、宮川氏の様子を
遠方
(
えんぽう
)
から、それとなく観察するつもりだ。それが儂のいまいった診察なんだ。
脳の中の麗人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あ、さようでございましたか。それはそれは
遠方
(
えんぽう
)
のところをご
苦労
(
くろう
)
さまで……それはあのなくなったは
気違
(
きちが
)
いのことでしょうな」
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ついでにこの
家
(
いえ
)
もお
前
(
まえ
)
さんにあずけるから、
遠慮
(
えんりょ
)
なく
住
(
す
)
まって
下
(
くだ
)
さい。わたしたちは
当分
(
とうぶん
)
遠方
(
えんぽう
)
へ行って
暮
(
く
)
らさなければなりません。
一本のわら
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
かの女はそういうものが
稀
(
まれ
)
にはかの女の
遠方
(
えんぽう
)
に
在
(
あ
)
るのを感じる。
然
(
しか
)
し遠いものは遠いものとして
遥
(
はる
)
かに尊敬の念を送って居たい。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
あれは
本当
(
ほんとう
)
といえば
本当
(
ほんとう
)
、ゴマカシといえばゴマカシでござる。われわれは
肉体
(
にくたい
)
ぐるみ
人間
(
にんげん
)
を
遠方
(
えんぽう
)
へ
連
(
つ
)
れて
行
(
ゆ
)
くことはめったにござらぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それには
遠方
(
えんぽう
)
より
土
(
つち
)
を
次第
(
しだい
)
につんで
傾斜
(
けいしや
)
した
坂道
(
さかみち
)
を
築
(
きづ
)
き
上
(
あ
)
げ、それへ
石
(
いし
)
を
押
(
お
)
し
上
(
あ
)
げてこれを
縱
(
たて
)
に
落
(
おと
)
し
立
(
た
)
て、それからその
上
(
うへ
)
に
横石
(
よこいし
)
を
載
(
の
)
せたもので
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
例
(
たと
)
へば
鐵砲
(
てつぽう
)
の
彈丸
(
たま
)
を
遠方
(
えんぽう
)
へ
飛
(
と
)
ばす
原因
(
げんいん
)
は
火藥
(
かやく
)
の
爆發力
(
ばくはつりよく
)
であるが、これを
實現
(
じつげん
)
せしめる
副原因
(
ふくげんいん
)
は
引金
(
ひきがね
)
を
外
(
はづ
)
す
作用
(
さよう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
私は
遠方
(
えんぽう
)
からまいった油商人でございますが、今晩だけ、とめていただけませんでしょうか。そして、この油がめを
アラビヤンナイト:03 三、アリ・ババと四十人のどろぼう
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「先生、あの、このお方が、先生にお目にかかりたいといって、わざわざ
遠方
(
えんぽう
)
からおいでなさいましたのですが。」
怪人二十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「
白
(
しろ
)
」が居た頃、此犬は
毎
(
つね
)
に善良な「白」を
窘
(
いじ
)
め、「白」を誘惑して共に
隣家
(
となり
)
の猫を
噛
(
か
)
み殺し、
到頭
(
とうとう
)
「白」を
遠方
(
えんぽう
)
にやるべく余儀なくした、云わば白の
敵
(
かたき
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
空
(
そら
)
に
照
(
て
)
つてゐる
秋
(
あき
)
の
夜
(
よ
)
の
月
(
つき
)
。その
月光
(
つきかげ
)
のさしてゐる
空
(
そら
)
を
遠方
(
えんぽう
)
からやつて
來
(
き
)
た
雁
(
かり
)
が、
列
(
れつ
)
をなして
鳴
(
な
)
きとほつて
行
(
ゆ
)
く。こんな
晩
(
ばん
)
には、
一
(
いつ
)
しょに
親
(
した
)
しむ
友
(
とも
)
だちの
訪問
(
ほうもん
)
が
待
(
ま
)
たれる。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
ふと
妙
(
めう
)
だが、
人
(
ひと
)
は
一種
(
いつしゆ
)
の
感應
(
かんおう
)
があつて、
私
(
わたくし
)
の
如
(
ごと
)
きは
昔
(
むかし
)
からどんな
遠方
(
えんぽう
)
に
離
(
はな
)
れて
居
(
を
)
る
人
(
ひと
)
でも、『あの
人
(
ひと
)
は
未
(
ま
)
だ
無事
(
ぶじ
)
だな』と
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
る
人
(
ひと
)
に、
死
(
しん
)
だ
例
(
ためし
)
はないのです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
遠方
(
えんぽう
)
の者だろうというこってす。おれはこの年まで、
石巻
(
いしのまき
)
までもめったに出ねエ者だが、おれの馬鹿なことはよっぽど遠くまで聞こえてるといって、家で笑っていたことでがす。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
牛
(
うし
)
は、
穏
(
おだ
)
やかな
大
(
おお
)
きな
目
(
め
)
をみはって、
遠方
(
えんぽう
)
の
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされて
暑
(
あつ
)
そうな
景色
(
けしき
)
を
見
(
み
)
ていましたが、からすが
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
でこう
問
(
と
)
いますと
馬を殺したからす
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかるに何百キロ何千キロという
遠方
(
えんぽう
)
になると、どんなに電力を
増
(
ま
)
しても聴えない。これは
可笑
(
おか
)
しいというのでいろいろ調べてみました。
科学が臍を曲げた話
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
「まあ、そんな
遠方
(
えんぽう
)
へ行くのでは、さぞおなかがおすきだろう。よしよし、おべんとうをこしらえて
上
(
あ
)
げましょう。」
桃太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
私のことを「まあ
御気丈
(
おきじょう
)
な、お独り子を
修行
(
しゅぎょう
)
の
為
(
ため
)
とは言え、よくあんな
遠方
(
えんぽう
)
へ置いてらしった。
流石
(
さすが
)
にあなた方はお違いですね。判ってらっしゃる」
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
たとひ
四邊
(
あたり
)
に
火災
(
かさい
)
の
虞
(
おそ
)
れがないように
考
(
かんが
)
へられた
場合
(
ばあひ
)
に
於
(
おい
)
ても、
遠方
(
えんぽう
)
の
火元
(
ひもと
)
から
延燒
(
えんしよう
)
して
來
(
く
)
ることがあるからである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
「一口さしあげないで、どうしてお帰し申すことができましょう。ご
遠方
(
えんぽう
)
のお帰りをまことに申しわけが……」
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
肉体
(
にくたい
)
は
通例
(
つうれい
)
附近
(
ふきん
)
の
森蔭
(
もりかげ
)
や
神社
(
やしろ
)
の
床下
(
ゆかした
)
などに
隠
(
かく
)
し
置
(
お
)
き、ただ
引
(
ひ
)
き
抽
(
ぬ
)
いた
魂
(
たましい
)
のみを
遠方
(
えんぽう
)
に
連
(
つ
)
れ
出
(
だ
)
すものでござる。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
さて
今
(
いま
)
申
(
まを
)
したいろ/\の
形
(
かたち
)
の
古墳
(
こふん
)
は、
今日
(
こんにち
)
遺
(
のこ
)
つてゐるものには、たいてい
松
(
まつ
)
の
木
(
き
)
や
他
(
た
)
の
樹木
(
じゆもく
)
が
生
(
は
)
え
繁
(
しげ
)
つて、
遠方
(
えんぽう
)
から
眺
(
なが
)
めると、こんもりした
森
(
もり
)
のように
見
(
み
)
えるのですが
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
これは
遠方
(
えんぽう
)
に
立
(
た
)
つてゐる
柳
(
やなぎ
)
の
木
(
き
)
の、いかにも
春景色
(
はるげしき
)
になつて
行
(
ゆ
)
く
色
(
いろ
)
あひがそれである。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
それがだめなんですよ。先生は旅行していらっしゃるんです。どっか
遠方
(
えんぽう
)
の事件なんですって。でね、小林さんに相談したんですよ。するとね、あの人やっぱり頭がいいや。うまいことを
少年探偵団
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
此
(
この
)
屏風形
(
べうぶがた
)
の
岩
(
いわ
)
は、
遠方
(
えんぽう
)
から
見
(
み
)
ると、
只
(
たゞ
)
一枚
(
いちまい
)
丈
(
だ
)
け
孤立
(
こりつ
)
して
居
(
を
)
るやうだが、
今
(
いま
)
、
其
(
その
)
上
(
うへ
)
へ
登
(
のぼ
)
つて
見
(
み
)
ると、
三方
(
さんぽう
)
四方
(
しほう
)
に
同
(
おな
)
じ
形
(
かたち
)
の
岩
(
いわ
)
がいくつも
重
(
かさな
)
り
合
(
あ
)
つて、
丁度
(
ちやうど
)
羅馬
(
ローマ
)
古代
(
こだい
)
の
大殿堂
(
テンプル
)
の
屋根
(
やね
)
のやうな
形
(
かたち
)
をなし
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「
赤
(
あか
)
い
船
(
ふね
)
がきましたよ。さあ、もう
私
(
わたし
)
たちは、
立
(
た
)
つときです。どうか、
遠方
(
えんぽう
)
にいるお
友
(
とも
)
だちに
知
(
し
)
らせてください。」といいました。
赤い船とつばめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鐵砲
(
てつぽう
)
に
彈藥
(
だんやく
)
が
裝填
(
そうてん
)
してあれば
引金
(
ひきがね
)
を
外
(
はづ
)
すことによつて
彈丸
(
たま
)
が
遠方
(
えんぽう
)
に
飛
(
と
)
ぶが、もし
彈藥
(
だんやく
)
が
裝填
(
そうてん
)
してなく
或
(
あるひ
)
は
單
(
たん
)
に
彈丸
(
たま
)
だけ
詰
(
つ
)
めて
火藥
(
かやく
)
を
加
(
くは
)
へなかつたなら
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
ぼくはトラックに
揺
(
ゆ
)
られ、それから貨車の中に揺られ、放送所のある
遠方
(
えんぽう
)
の土地まで
搬
(
はこ
)
ばれていった。
もくねじ
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
前
(
まえ
)
にも
申上
(
もうしあ
)
げた
通
(
とお
)
り、
私
(
わたくし
)
の
修行場
(
しゅぎょうば
)
の
所在地
(
しょざいち
)
は
山
(
やま
)
の
中腹
(
ちゅうふく
)
の
平坦地
(
たいらち
)
で、
崖
(
がけ
)
の
上
(
うえ
)
に
立
(
た
)
って
眺
(
なが
)
めますと、
立木
(
たちき
)
の
隙間
(
すきま
)
からずっと
遠方
(
えんぽう
)
が
眼
(
め
)
に
入
(
はい
)
り、なかなかの
絶景
(
ぜっけい
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
綱
(
つな
)
は
小
(
ちい
)
さい
時
(
とき
)
母
(
はは
)
に
別
(
わか
)
れたので、
母親
(
ははおや
)
の
代
(
か
)
わりにわたしがあの子を
育
(
そだ
)
ててやったのです。それが
今
(
いま
)
はえらい
侍
(
さむらい
)
になったといって、せっかく
遠方
(
えんぽう
)
からたずねて
来
(
き
)
ても
会
(
あ
)
ってはくれない。
羅生門
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
木
(
き
)
は、それがために、
雷
(
かみなり
)
をおそれていました。そして、いま、
遠方
(
えんぽう
)
で
鳴
(
な
)
る
雷
(
かみなり
)
の
音
(
おと
)
をきくと、
身
(
み
)
ぶるいせずにはいられませんでした。
ぴかぴかする夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
鎔岩
(
ようがん
)
に
無數
(
むすう
)
の
泡末
(
ほうまつ
)
が
含
(
ふく
)
まれたものは
輕石
(
かるいし
)
或
(
あるひ
)
はそれに
類似
(
るいじ
)
のものとなるのであるが、その
小片
(
しようへん
)
はらぴりと
名
(
な
)
づけられ、
火山灰
(
かざんばひ
)
と
共
(
とも
)
に
遠方
(
えんぽう
)
にまで
運
(
はこ
)
ばれる。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
相手国たる独国の海軍
根拠地
(
こんきょち
)
ウィルヘルムスハーフェンを去ること実に五百六十
哩
(
マイル
)
の
遠隔
(
えんかく
)
の地にあり、独国軍艦にお目にかかるのには、外野席以上の
遠方
(
えんぽう
)
の地点で、これほど縁どおいところはない。
沈没男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
夕立
(
ゆうだち
)
がやってきそうですよ。
遠方
(
えんぽう
)
で
雷
(
かみなり
)
が
鳴
(
な
)
っています。それは、あなたの
耳
(
みみ
)
には、はいりますまい。ずっと
遠
(
とお
)
くでありますから。
負傷した線路と月
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
火口近
(
かこうちか
)
くにゐてこの
波動
(
はどう
)
に
直面
(
ちよくめん
)
したものは、
空氣
(
くうき
)
の
大
(
おほ
)
きな
槌
(
つち
)
を
以
(
もつ
)
て
擲
(
なぐ
)
られたことになるので、
巨大
(
きよだい
)
な
樹木
(
じゆもく
)
が
見事
(
みごと
)
に
折
(
を
)
れ、
或
(
あるひ
)
は
根
(
ね
)
こぎにされて
遠方
(
えんぽう
)
へ
運
(
はこ
)
ばれる。
勿論
(
もちろん
)
家屋
(
かおく
)
などは
一溜
(
ひとたま
)
りもない。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
春江と電気看板の
点滅
(
てんめつ
)
を合図に
逢瀬
(
おうせ
)
を楽しんでいたことが忘れられず、今は鈴江と仲のよくなった今日も、毎晩のように十三丁も
遠方
(
えんぽう
)
から、あの桃色のネオン・サインをうっとり
見詰
(
みつ
)
めていたそうで
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼
(
かれ
)
は、にぎやかな
都会
(
とかい
)
から、こっそりと
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
して、
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
りました。そして、できるだけ
遠方
(
えんぽう
)
へゆこうとしました。
船
(
ふね
)
の
中
(
なか
)
で
船でついた町
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「ちょっと
遠方
(
えんぽう
)
なんです」
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こうして、
鳥
(
とり
)
にたべられて、その
鳥
(
とり
)
が、
遠方
(
えんぽう
)
に
飛
(
と
)
んでいって、ふんをすると
種子
(
たね
)
が、その
中
(
なか
)
にはいっていて、
芽
(
め
)
を
出
(
だ
)
すこともあるのです。
赤い実
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お
父
(
とう
)
さんは、
青
(
あお
)
ざめた、
明
(
あ
)
け
方
(
がた
)
近
(
ちか
)
き
空
(
そら
)
を
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
の
音
(
おと
)
を、まくらに
頭
(
あたま
)
をつけたまま、
聞
(
き
)
きながら、
心
(
こころ
)
を
遠方
(
えんぽう
)
にはせていられました。
火事
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし、
彼
(
かれ
)
は
独
(
ひと
)
りとなって、
静
(
しず
)
かに
考
(
かんが
)
えたとき、
自分
(
じぶん
)
は
町
(
まち
)
から
出
(
で
)
て、
遠方
(
えんぽう
)
へいった
時分
(
じぶん
)
にも、
母親
(
ははおや
)
の
霊魂
(
たましい
)
に
無断
(
むだん
)
であったことを
思
(
おも
)
いました。
牛女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
哀
(
あわ
)
れな
小僧
(
こぞう
)
や、
娘
(
むすめ
)
や、
母親
(
ははおや
)
がいるのは、そんなに
遠方
(
えんぽう
)
の
町
(
まち
)
ではあるまいから、おまえさんはその
小僧
(
こぞう
)
と
娘
(
むすめ
)
と
盲目
(
めくら
)
の
按摩
(
あんま
)
を
探
(
さが
)
しなさるがいい。
塩を載せた船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「すこし、
遠方
(
えんぽう
)
だが、これだけの
金
(
かね
)
でいってくださらんか。
孫
(
まご
)
が、
急病
(
きゅうびょう
)
だと
知
(
し
)
らしてきたのだが……。」と、
頼
(
たの
)
みました。
日月ボール
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「こいつのすんでいる
池
(
いけ
)
は、そうたくさんはありません。これは
遠方
(
えんぽう
)
から
送
(
おく
)
られてきたんですよ。
夜
(
よる
)
になると
鳴
(
な
)
きます。」
真昼のお化け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
黒
(
くろ
)
い
森
(
もり
)
の
姿
(
すがた
)
が、だんだん
雪
(
ゆき
)
の
上
(
うえ
)
に、
高
(
たか
)
くのびてきました。
中
(
なか
)
には
坊
(
ぼう
)
さんが、
黒
(
くろ
)
い
法衣
(
ほうい
)
をきて
立
(
た
)
っているような、一
本
(
ぽん
)
の
木立
(
こだち
)
も、
遠方
(
えんぽう
)
に
見
(
み
)
られました。
大きなかに
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私
(
わたし
)
は、こう
聞
(
き
)
くと、きのどくに
思
(
おも
)
いました。やっと、
遠方
(
えんぽう
)
から
帰
(
かえ
)
ってきて、
同情
(
どうじょう
)
するものがなかったら、
力
(
ちから
)
のおとしようは、どんなかと
思
(
おも
)
うからでした。
春さきの朝のこと
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
よく
遠方
(
えんぽう
)
のかすんで
見
(
み
)
えない
目
(
め
)
で、じっとその
方
(
ほう
)
を
見
(
み
)
ますと、たしかに、
日
(
ひ
)
ごろからおそれているわしが、
自分
(
じぶん
)
を
目
(
め
)
がけて
飛
(
と
)
んでくることがわかりました。
一本のかきの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ある
朝
(
あさ
)
のこと、すこしの
油断
(
ゆだん
)
を
見
(
み
)
はからって、
彼
(
かれ
)
は、一
座
(
ざ
)
から
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
しました。そして、どこというあてもなく、ただ
遠方
(
えんぽう
)
へと、
足
(
あし
)
に
委
(
まか
)
せて
走
(
はし
)
ったのです。
サーカスの少年
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
三
人
(
にん
)
の
前
(
まえ
)
には、さびれていく
田園
(
でんえん
)
の
景色
(
けしき
)
がしみじみとながめられたのです。
年上
(
としうえ
)
の
子供
(
こども
)
は、
黒
(
くろ
)
い
瞳
(
ひとみ
)
をこらして、
遠方
(
えんぽう
)
をじっと
物思
(
ものおも
)
わしげに
見
(
み
)
つめていました。
石段に鉄管
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
けれど、からすは、
羽根
(
はね
)
のいったことが
耳
(
みみ
)
に
入
(
はい
)
らなかったように
遠方
(
えんぽう
)
の
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
へ
飛
(
と
)
んできて、いちばん
高
(
たか
)
い
木
(
き
)
の
頂
(
いただき
)
にあった、
自分
(
じぶん
)
の
巣
(
す
)
の
中
(
なか
)
へ
持
(
も
)
ってきました。
東京の羽根
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“遠方”の意味
《名詞》
遠 方(えんぽう、おちかた)
遠くの場所。
(出典:Wiktionary)
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“遠方”で始まる語句
遠方此方
遠方人
遠方地震
遠方近方