“雁”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かり54.5%
がん42.3%
かりがね1.9%
がり0.9%
カリ0.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
にわかに空を羽音がして、かり一列いちれつが通りました時、須利耶すりやさまはまどからそれを見て、思わずどきっとなされました。
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
老人夫婦らうじんふうふわかれげつつ、民子たみこかりにも殘惜のこりをしいまで不便ふびんであつたなごりををしんだ。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
巨椋おほくら入江いりえとよむなり射部人いめびと伏見ふしみ田居たゐかりわたるらし 〔巻九・一六九九〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
肉体的にその資格を失った自分を冷たく諦観ていかんして、死にはぐれ、生きはぐれながら、次の道をさがしている迷えるかりの一羽に似ていた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はるかへかりが、かへつてしまつたのちはないても、どもはかり姿すがたえないので
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
二葉亭ふたばていの『浮雲』や森先生の『がん』の如く深刻緻密ちみつに人物の感情性格を解剖する事は到底わたくしの力のくする所でない。
正宗谷崎両氏の批評に答う (新字新仮名) / 永井荷風(著)
飛んでゐる五六羽の鳥はとびだかがんだか彼れの智識では識別みわけられなかつたが、「ブラツクバード」と名づけただけで彼れは滿足した。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
殊にがんからすとはちがって、いかにそれが江戸時代であっても、仮りにも鷲と名のつくほどのものが毎日ぞろぞろとつながって来る筈がない。
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この bitumeビチュウム 色の茎の間を縫って、黒ずんだ上に鈍い反射を見せている水のおもてを、十羽ばかりのがんが緩やかに往来している。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
えりの寒さに又八道心は雲を見あげた。時雨しぐれもようの陽であった。がんが二、三羽、翼の裏を見せてそこらの近いへ下りた。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……ばかりじゃ無い、……かりがねつばめきかえり、軒なり、空なり、行交ゆきかう目を、ちょっとは紛らす事もあろうと、昼間は白髪の仮髪かつらかむる。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
跡には秋深く夜靜しづかにして、亙るかりがねの聲のみ高し。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
——迦陵嚬伽かりょうびんがれ馴れし、声今更にわずかなる、かりがねの帰り行く。天路あまじを聞けばなつかしや、千鳥かもめの沖つ波、行くか帰るか、春風の——
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その空へ、すらすらとかりがねのように浮く、緋縮緬の女の眉よ! 瞳もすわって、まばたきもしないで、恍惚うっとりと同じ処を凝視みつめているのを、宗吉はまたちらりと見た。
売色鴨南蛮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おめえも俺も、いわば群れからはぐれた迷いがりだ。……行かないか。……行ってみないか。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雁か! 迷子まいごのはなれがりか!
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
月ハ天南ヲチテ、カリノ飛ブ無シ
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)