“かり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カリ
語句割合
36.9%
13.3%
9.7%
狩猟8.8%
7.6%
4.8%
3.0%
借金2.7%
2.1%
1.5%
1.2%
1.2%
借財0.6%
加里0.6%
0.6%
0.6%
苟且0.6%
0.6%
0.6%
借利0.3%
借銭0.3%
0.3%
0.3%
火裏0.3%
火裡0.3%
狩獵0.3%
0.3%
0.3%
負債0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
床柱とこばしらけたる払子ほっすの先にはき残るこうの煙りがみ込んで、軸は若冲じゃくちゅう蘆雁ろがんと見える。かりの数は七十三羽、あしもとより数えがたい。
一夜 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは戦時中だが、長政の父久政のかりの葬儀が営まれ、次の日にいたるまで、本丸の奥のほうで、読経どきょうの声がもれていたからである。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
商用とやらが、そう極まって晩方にあるものではあるまいと云えば、「金をかりる相談を朝っぱらからする奴があるものか」と云う。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
あり余る若さとうつのやりばとして、宮はよく洛外へ狩猟かりに出た。供にはいつも吉野、十津川いらいの猛者もさを大勢つれていた。
「いや、かりにあなたが人殺しをしてそれが露見ろけんしたとあなたに知らしても、それ以上びつくりした顏付にはならないでせうよ。」
「そうだ。ここ久しく戦に忙しく、狩猟に出たこともない。天子を許田きょでんかりに請じて、ひとつ諸人の向背こうはいを試してみよう」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
魯の哀公あいこうが西のかた大野たいやかりして麒麟きりんた頃、子路は一時衛から魯に帰っていた。その時小邾しょうちゅの大夫・えきという者が国にそむき魯に来奔した。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
伯父といふものは借金かりを拵へたり、恋病こひやまひつかれたり、猫にたゝられたりするをひにとつては、少くとも一人は無くてならない実用品なのである。伯父は言つた。
薬鑵やくわん土瓶どびん雷盆すりばちなどいづれの家にもなし、秋山の人家じんかすべてこれにおなじ。今日秋山に入りこゝにいたりて家を五ツ見しが、あはひえかりこむころなれば家にる男を見ず。
新「うもトヽ飛んでもない事を仰しゃる、わたくしは何うもそんな、ほかの事と違い人を殺すなぞと、かりにも私は、どうも此方様こちらさまにはられません、ヘエ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
兎をやかりせんとする、さらずば天馬空を行くとかいふ詩想の象徴をや示さんとする、と公子語を繼いで云へば、ジエンナロ、否、われ等の跬歩きほなやめる處を、かれは能く飛行すと誇るなるべし
其音そのおとかり鳴聲なきごゑによくてゐるのを二人ふたりとも面白おもしろがつた。あるときは、平八茶屋へいはちぢややまで出掛でかけてつて、そこに一日いちにちてゐた。さうして不味まづ河魚かはうをくししたのを、かみさんにかしてさけんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「で、その借財かりのほうは、どうなすったのでござります」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
また醫員いゐんのハヾトフも時々とき/″\ては、何故なにゆゑかアルコール分子ぶんしはひつてゐる飮物のみものせ。ブローミウム加里かりめとすゝめてくので。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
四五海若わたつみみことのりあり。老僧かねて四六放生はうじやう功徳くどく多し。今、江に入りて魚の遊躍あそびをねがふ。かり金鯉きんりふくを授けて四七水府すゐふのたのしみをせさせ給ふ。
夕方えん籐椅子とういすに腰かけて、静に夕景色を味う。かりあと青い芝生も、庭中の花と云う花もかげに入り、月下香の香が高く一庭にくんずる。金の鎌の様な月が、時々雲に入ったり出たり。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
馬鹿ばかだな、苟且かりにも主人しゆじんが呼んだら、なに御用ごようでもりますかと手を突いてふもんだ、チヨツ(舌打したうち)大きな体躯なりで、きたねえ手のあかを手のひらでぐる/\んで出せばくらゐ手柄てがらになる
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
その力をかりてなりとも
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
論者、間々ままあるいは少年子弟の自治の精神を涵養し、その活溌の気象を発揚するを喜びず、しいてそのやからかりてこれを或る狭隘きょうあいなる範囲内に入れ、その精神をおさえ、その気象を制せんと欲するものあり。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
「なんの。不如意ふにょいの節は誰しも同じこと。早くこれを持って行って、その鍛冶富とやらへ借利かりを払ってやりなさい。私が店番をしている」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その坊主頭と旦那旦那という呼言葉と、絶えず光を背にしようとした心遣い、最後に常吉への借銭かり云々うんぬんの鎌掛けでさすがの悪も釘抜親分の八方睨みに見事見破られたのであった。
「さびしゅうしてならんけん。だりかりもぐうぐういびきばかりかいとって、始末におえん。甲板さん出て見たっちゃ、真っ暗闇で、歩けもせん。星も出とらん。雨でん降りまっしゅごたる。」
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
なへさしはさむの勞苦は、福神のかりに化して人と現はれて、其の福の道を傳へんが爲に勞作する、と云つても宜い程のものである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
当時此戦の功を讃えて、鎗仕やりし鎗仕は多けれど名古屋山三は一の鎗、と世に謡われたということだが、まさこれ火裏かり蓮華れんげ、人のまなこを快うしたものであったろう。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
われを知り給うものまた君をいて世にあらじ。本能寺に御最期の火裡かり一瞬、君の御心中に、われを呼び給い、われに遺託いたくありしこと必せり。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女はまた「御隱居さまも狩獵かりには氣狂きちがひでゐらしたし、畑のことなぞもなすつて、別にこれと云つて此處らの旦那衆と違つたことはなさらなかつた。」
そうして彼の獲物袋には、ひわつぐみかりなどがはち切れるほどに詰まっていた。
大鵬のゆくえ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
若敖卒してのち母と共に䢵にやしなわるる間䢵子の女に淫し令尹れいいん子文を生んだ、䢵の夫人これを夢中にてしむると、虎が自分の乳で子文を育った、䢵子かりして見付け惧れ帰ると夫人実を以て告げ
そして是非一度来てくれといったが、七郎は負債かりのあるのを遺憾として、どうしても来なかった。武はそこで先ずふるくから蓄えてある皮をくれといって、早く七郎に来てもらおうとした。
田七郎 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)