“たと”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:タト
語句割合
59.6%
13.5%
11.9%
5.0%
仮令3.3%
0.9%
0.8%
0.8%
縦令0.6%
0.6%
例之0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
似合0.2%
例令0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
比喩0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「そう具体的に挙げろと言われちゃ、なんにも言えないがね。きみが偽映鏡の話をするから、ぼくもそれをたとえに使っただけで……」
街頭の偽映鏡 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
しかこれきたはなしとか、交際かうさいとかとふものとはまたべつで、あま適切てきせつれいではりませんが、たとへば書物しよもつはノタで、談話だんわ唱歌しやうかでせう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
自暴自棄な年若の大之進が腕ができるにしたがい人斬り病にかかったのも、狂人きちがいに刃物のたとえ、無理からぬ次第であったとも言える。
それであるからたとひ大人であつてもそこから余程川下かはしもの橋を渡るときに、信心ふかい者はいつもこの淵に向つててのひらを合せたものである。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
目科は「出来るとも僕が此事件の詮鑿を頼まれて居るでは無いか仮令たとい夜の夜半よなかでも必要と認れば其罪人に逢い問糺といたゞす事を許されて居る」
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
つけた。たとえば、煙管の中に、水がたまる。煙と、火ばかりで、水の縁が無いのに水ができる。これは、何故であろう?
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
彼曰ふ、あゝ子よ、この群の中たとひ束の間なりとも止まる者あればその者そののち身を横たゆる百年もゝとせに及び火これを撃つとも扇ぐによしなし 三七—三九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
尤も財産を作るには利殖の方法もあるし、たとえば定期市場に手を出すような方法もあるから、一概には云えないが、三度の火事は疑えば疑えない事はない。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
あるいは曰く、「惹爾日ジョルジ公あり、汝の強敵なり」と。彼泰然として曰く、「否々我往かん、縦令たとい惹爾日公雨の如く九日九夜降り続きたりとて何かあらん」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
またそれらの階級に阿附あふする多数の学者教育者とかには、年輩の上から旧時代に属する人たちが多いのですから、そういう人たちはたとい憲法の精神に背き
女子の独立自営 (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
例之たとへば消化の経過を実地に観察して報告するとか云ふやうなわけには行きますまいか。事実の材料を集める目的で。
たとうべければなり
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
池上がふとした単なるたとえの上の思い付きで、また、用意周到に「仮りに」と断りながらも、おきみの名を口に上したのを聞いた刹那せつな、池上の言ったわたくしに対する話の趣旨は充分判っていながら
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
暖国の雪一尺以下ならば山川村里さんせんそんり立地たちどころ銀世界ぎんせかいをなし、雪の飄々へう/\翩々へん/\たるをて花にたとへ玉にくらべ、勝望美景しようばうびけいあいし、酒食しゆしよく音律おんりつたのしみへ、うつことばにつらねて称翫しようくわんするは和漢わかん古今の通例つうれいなれども
似合たとい議論すればといっても、ほんとうに顔をあからめて如何どうあっても勝たなければならぬと云う議論をしたことはない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
世の中は永いから例令たとえ今わかき苗木を植えたとすればその内にはそれが生長して花を着けるようになる。そして我等の子の代、孫の代には実に見事な桜の名所となって花下で楽む事が出来るであろう。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「いや、きつとある筈だ。たとへばお前だ」
「夜窓留客一灯幽。酔後陶然解旅愁。談笑何妨渉奇怪。匹如坡老在黄州。」〔夜窓客ヲ留メテ一灯しずカナリ/酔後陶然トシテ旅愁ヲク/談笑何ゾ妨ゲンヤ奇怪ニわたルヲ/たとフレバ坡老ノ黄州ニ在ルガ如シ〕また或時はかき
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
人畜にんちくの道ことにして。その欲を得遂げざれども。耳に妙法のたときをきゝて。…………おなじ流に身をなげて。共に彼岸かのきしに到れかし。
それから六月十三日になつて、忠之は黒田市兵衞いちべゑ、岡田善右衞門ぜんゑもんの二人を利章の所へ使に遣つて歩行のかなはぬ程の重體ではあるまいから、たとひ手を引かれてでも出てもらひたいと云はせた。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
それをちょっと比喩たとえてみるなれば、柔い黄色の羽根がやっと生えそろったばかりのカナリヤの雛仔ひなを、ソッとのうちに握ったような気持、とでも云ったなら
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その屋根を天にたとえることは、新家屋を寿ことほぐのが主な動機だから自然にそうなるので、また、万葉巻十九(四二七四)の新甞会にいなめえの歌の「あめにはも五百いほつ綱はふ万代よろづよに国知らさむと五百つ綱ふ」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
アノ死骸の当人も矢張りそれだぜ詳しい所までは分らぬけれど何でも傍に喧嘩があったので手早く側中かわじゅうの有金を引浚ッてたとうとすると居合せた者共が銘々に其一人に飛掛り初の喧嘩は扨置さておいて己の金を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ジャン・クリストフがふたたびよみがえるために死にゆく時、昼と夜、愛と憎悪、その力強き二つの翼ある神をたとうる歌が響いてきた。
かつらならではとゆるまでに結做ゆひなしたる圓髷まるまげうるしごときに、珊瑚さんご六分玉ろくぶだま後插あとざしてんじたれば、さら白襟しろえり冷豔れいえんものたとふべきく——
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)