たと)” の例文
故に上士の常に心を関するところは、尊卑そんぴ階級のことに在り。この一事においては、往々おうおう事情に適せずして有害ゆうがい無益むえきなるものあり。たとえば藩政の改革とて、藩士一般に倹約けんやくを命ずることあり。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
池上がふとした単なるたとえの上の思い付きで、また、用意周到に「仮りに」と断りながらも、おきみの名を口に上したのを聞いた刹那せつな、池上の言ったわたくしに対する話の趣旨は充分判っていながら
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)