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圓髷
鬘ならではと
見ゆるまでに
結做したる
圓髷の
漆の
如きに、
珊瑚の
六分玉の
後插を
點じたれば、
更に
白襟の
冷豔、
物の
類ふべき
無く——
この
面影が、ぬれ
色の
圓髷の
艷、
櫛の
照とともに、
柳をすべつて、
紫陽花の
露とともに、
流にしたゝらうといふ
寸法であつたらしい。……
褄前を
揃へて
裾を
踏みくゞむやうにして、
圓髷と
島田の
對丈に、
面影白く、ふツと
立つた、
兩個の
見も
知らぬ
婦人がある。
土手の
霞暮れんとして、
櫻あかるき
三めぐりあたり、
新しき
五大力の
舷の
高くすぐれたるに、
衣紋も
帶も
差向へる、
二人の
婦ありけり、
一人は
高尚に
圓髷ゆひ、
一人は
島田艷也。