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圓髷
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まるまげ
鬘ならではと
見ゆるまでに
結做したる
圓髷の
漆の
如きに、
珊瑚の
六分玉の
後插を
點じたれば、
更に
白襟の
冷豔、
物の
類ふべき
無く——
この
面影が、ぬれ
色の
圓髷の
艷、
櫛の
照とともに、
柳をすべつて、
紫陽花の
露とともに、
流にしたゝらうといふ
寸法であつたらしい。……
然うだらう。
日本橋の
砂糖問屋の
令孃が、
圓髷に
結つて、あなたや……
鰺の
新ぎれと、
夜行の
鮭を
教へたのである。
糠鰊がうまいものか。
わがまゝのやうだけれど、
銀杏返や
圓髷は
不可い。「だらしはないぜ、
馬鹿にして
居る。」が、
憤つたのでは
決してない。
一寸の
旅でも
婦人である。
其の
姿で
手をつきました。あゝ、うつくしい
白い
指、
結立ての
品のいゝ
圓髷の、
情らしい
柔順な
髱の
耳朶かけて、
雪なす
項が
優しく
清らかに
俯向いたのです。
次手だから
話さう。
此と
對をなすのは
淺草の
万ちやんである。お
京さんが、
圓髷の
姉さんかぶりで、
三歳のあかちやんを
十の
字に
背中に
引背負ひ、たびはだし。
其の
背の
高いのは、
極めて、
品の
可い
艷やかな
圓髷で
顯れる。
少いのは
時々に
髮が
違ふ、
銀杏返しの
時もあつた、
高島田の
時もあつた、
三輪と
云ふのに
結つても
居た。
とあれば、
鬘ならではと
見ゆるまで、
圓髷を
結なして、
六分玉の
珊瑚に、
冷豔なる
白襟の
好み。
お
組は、しかけた
用の
忙しい
折から、
冬の
日は
早や
暮れかゝる、ついありあはせた
躾の
紅筆で、
懷紙へ、
圓髷の
鬢艷やかに、もみぢを
流す……うるはしかりし
水莖のあと。
圓髷に
結つて、
筒袖を
着た
人を、しかし、
其二人は
却つて、お
米さんを
祕密の
霞に
包みました。
此の
帷幄に
參して、
蝶貝蒔繪の
中指、
艷々しい
圓髷をさし
寄せて
囁いた
計によれば——
此のほかに
尚ほ、
酒の
肴は、
箸のさきで、ちびりと
醤油(
鰹節を
添へてもいゝ、
料亭持出し)
頬のかゝり
白々と、
中にも、
圓髷に
結つた
其の
細面の
氣高く
品の
可い
女性の、
縺れた
鬢の
露ばかり、
面窶れした
横顏を、
瞬きもしない
雙の
瞳に
宿した
途端に、スーと
下りて、
板の
間で
鬘ならではと
見ゆるまでに
結なしたる
圓髷に、
珊瑚の
六分玉のうしろざしを
點じた、
冷艷類ふべきなきと、こゝの
名物だと
聞く、
小さなとこぶしを、
青く、
銀色の
貝のまゝ
重ねた
鹽蒸を
肴に
と
云つて、おねだんのものの
何にも
插さない、うしろ
向の
圓髷を
見た。