“懷紙”のいろいろな読み方と例文
新字:懐紙
読み方割合
くわいし71.4%
ふところがみ28.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
家の中を見廻して、歸る時に懷紙くわいしにくるんで金をおいていつたが、あんな凄い綺麗な女はないと、彼は老年になつても繰りかへしてゐた。
下町娘 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
たもとにも、懷中ふところにも、懷紙くわいしなかにもつてて、しんつて、眞顏まがほで、ゑてぐのがあぶらめるやうですごかつたとふ……ともだちはみなつてる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
如何いかなるくはだてか、内證ないしようはずわざ打明うちあけて饒舌しやべつて、紅筆べにふで戀歌こひうた移香うつりがぷんとする、懷紙ふところがみうや/\しくひろげて人々ひと/″\思入おもひいれ十分じふぶんせびらかした。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鬼貫は立つて縁先より娘のうしろ影を見送りゐたるが、やがて行燈をよきところに直して、小さき古机を持出し、しづかに筆を執りて懷紙ふところがみに何か書きはじめる。雪の音、木魚の音。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)