懷紙くわいし)” の例文
新字:懐紙
家の中を見廻して、歸る時に懷紙くわいしにくるんで金をおいていつたが、あんな凄い綺麗な女はないと、彼は老年になつても繰りかへしてゐた。
下町娘 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
たもとにも、懷中ふところにも、懷紙くわいしなかにもつてて、しんつて、眞顏まがほで、ゑてぐのがあぶらめるやうですごかつたとふ……ともだちはみなつてる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おそります。』と、玄竹げんちくさかづき盃洗はいせんみづあらひ、懷紙くわいしして、丁寧ていねいいたうへ但馬守たじまのかみさゝげた。それをけて、波々なみ/\がせたのを、ぐつとした但馬守たじまのかみ
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
平次は懷紙くわいしを出して、八五郎の眼の前に開いて見せました。
くみは、しかけたようせはしいをりから、ふゆれかゝる、ついありあはせたたしなみ紅筆べにふでで、懷紙くわいしへ、圓髷まるまげびんつややかに、もみぢをながす……うるはしかりし水莖みづぐきのあと。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
紅筆べにふで戀歌こひか移香うつりがぷんとする懷紙くわいしうや/\しくひろげて、人々ひと/″\思入おもひいれ十分じふぶんせびらかした。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)