“つか”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ツカ
語句割合
掴24.0%
遣7.6%
疲6.8%
束6.5%
柄5.4%
捉5.4%
使5.1%
費4.4%
攫3.4%
捕3.1%
支3.0%
事2.9%
労2.7%
閊2.2%
仕2.1%
浸1.6%
握1.3%
母1.2%
疲労1.0%
漬0.9%
用0.9%
塚0.8%
痞0.8%
勞0.5%
墳0.4%
把0.4%
欛0.4%
憊0.3%
𣠽0.3%
使用0.3%
尽0.3%
塞0.2%
抓0.2%
冢0.2%
衝0.2%
役0.2%
着0.1%
付0.1%
刀柄0.1%
突0.1%
憑0.1%
摘0.1%
附0.1%
疲勞0.1%
罷0.1%
促0.1%
羸0.1%
浴0.1%
就0.1%
抦0.1%
擢0.1%
消0.1%
使役0.0%
壠0.0%
拄0.0%
逼0.0%
吐0.0%
押0.0%
掬0.0%
搤0.0%
傭使0.0%
剣夾0.0%
労疲0.0%
勤0.0%
喫0.0%
堆0.0%
墓0.0%
墟0.0%
墳墓0.0%
奉0.0%
師事0.0%
廃0.0%
彼0.0%
悶0.0%
憔0.0%
懈0.0%
扱0.0%
扼0.0%
把握0.0%
抑0.0%
採用0.0%
搯0.0%
操0.0%
柄刀0.0%
浪費0.0%
消費0.0%
涵0.0%
潰0.0%
玄黄0.0%
痩0.0%
痴0.0%
瘁0.0%
竭0.0%
繼0.0%
行0.0%
費消0.0%
贈0.0%
遺0.0%
障0.0%
鞘0.0%
鞘手0.0%
駆0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
男は入口にうずくまるフランシスに眼をつけると、きっとクララの方に鋭い眸(ひとみ)を向けたが、フランシスの襟元(えりもと)を掴(つか)んで引きおこした。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「御父さまはきっと私達(わたしたち)が要らない贅沢(ぜいたく)をして、むやみに御金をぱっぱっと遣(つか)うようにでも思っていらっしゃるのよ。きっとそうよ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、疲(つか)れてきた羽(はね)にバサバサと力(ちから)を罩(こ)めて、追(お)ひつかうとするけれど、ラランのやつはさつさと先(さき)へ飛(と)びながら、着(お)ちつ(つ)いたもので
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
玉蜀黍(とうもろこし)の毛を束(つか)ねて結ったようなる島田を大童(おおわらわ)に振り乱し、ごろりと横に臥(ふ)したる十七八の娘、色白の下豊(しもぶくれ)といえばかあいげなれど
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
何故とはなく全身に凝縮(ぎょうしゅく)した感じが起って、無意識に軍刀の柄(つか)を押え、宇治は堤の斜面を辷(すべ)りながらかけ降りた。高城がすぐ続いた。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
独断なり故に狭隘(けふあい)なり。彼は数個の原則を捉(つか)み此を以て人事の総てを論断せんとせり。彼は何物も此原則の外に逸する能はずとせり。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
おのづから智慧(ちゑ)も力(ちから)も備(そな)はつて、陽(ひ)の面(おもて)に、隱形(おんぎやう)陰體(いんたい)の魔法(まはふ)を使(つか)つて、人目(ひとめ)にかくれ忍(しの)びつゝ、何處(いづこ)へか通(とほ)つて行(ゆ)くかとも想(おも)はれた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
なぜならば、わたしは金銭においてではないが、うららかな時間と夏の日において富んでおり、それを惜しげなく費(つか)ったからである。
然(しか)れども彼は一方においては事物の真相を察する烱眼(けいがん)あるに係(かかわ)らず、いわゆる天下の大勢を既に来(きた)れるに攫(つか)み、未(いま)だ至らざるに察し
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「いや、」と彼は言った、「私は追跡されています。その室で捕(つか)まるばかりです。そうなるとかえってあの女の霊を乱すでしょう。」
鍛冶(かぢ)は其(そ)の時(とき)仕事(しごと)が支(つか)へて居(ゐ)たが、それでも恁(か)ういふ職業(しよくげふ)に缺(か)くべからざる道具(だうぐ)といふと何處(どこ)でもさういふ例(れい)の速(すみやか)に拵(こしら)へてくれた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自己の余生を亡き夫の遺業の完成のために委(ゆだ)ねるは、なお在(い)ます夫に事(つか)うる如き心地がして、この上もない楽しみではあるけれども
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
不潔な人間は一般に怠惰な人間であり、ストーヴのそばに坐りこみ、太陽がその寝姿を照らし、労(つか)れもしないのに休息する者である。
それと一緒に、声がピッタリと咽喉(のど)に閊(つか)えてしまって、名前を呼べる位ならまだしも、声を立てる事すら出来なくなっているじゃないの。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
以て徳川氏の威権を維持せんとしたるが如きは、人各々その仕(つか)うる所に向って職分を忘れざるものにして、また哀むに足るものあり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それを支那の下男が石油缶へ移して天秤棒(てんびんぼう)で担(かつ)いで、どこかへ持って行く。風呂に浸(つか)りながら、どこへ持って行くんだろうなと考えた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
余は答へんとすれど声出でず、膝の頻(しき)りに戦(をのゝ)かれて立つに堪へねば、椅子を握(つか)まんとせしまでは覚えしが、その儘(まゝ)に地に倒れぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「お母(つか)ア! わツしや、ホトトギスの武夫と浪子のやうな清い仲にならうと思うたんぢや。若い衆のとは違ふ。悪いこつちやない!」
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
平太郎は僕(げなん)の六助に寝衣を出してもらってそれを着たが、半路以上もある処を走って疲労(つか)れたので、其のまま蚊帳の中へ入って横になった。
魔王物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一尺位の深い所まで水に漬(つか)ると、二三度粟をといで水をごぼごぼ汲み入れ、再びうふふ、うふふ奇声を上げながら飛び出した。
土城廊 (新字新仮名) / 金史良(著)
死骸(しがい)のかたわらに出刃庖丁(でばぼうちょう)が捨ててあった。柄(え)の所に片仮名(かたかな)のテの字の焼き印のある、これを調べると、出刃打ちの用(つか)っていた道具だ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして、せんの犬の塚(つか)のとなりへ穴をほり、死がいをていねいにズックのきれでつつんで中へ入れ、ちゃんと土をもり上げました。
やどなし犬 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
その十七文字を、上から読んだり、下から読んだり、ドッ、ドッと笑い崩れ乍(なが)ら、胸一杯に痞(つか)えた溜飲を下げて居るのでした。
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
看護(かんご)の人(ひと)も勞(つか)れぬ、雪子(ゆきこ)の身(み)も弱(よわ)りぬ、きのふも植村(うゑむら)に遇(あ)ひしと言(い)ひ、今日(けふ)も植村(うゑむら)に遇(あ)ひたりと言(い)ふ、川(かは)一(ひと)つ隔(へだ)てゝ姿(すがた)を見(み)るばかり
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一行はアルバノの山を踰(こ)えたり。カムパニアの曠野(ひろの)は我前に横(よこたは)れり。道の傍なる、蔦蘿(つたかづら)深く鎖(とざ)せるアスカニウスの墳(つか)は先づ我眼に映ぜり。
彼には順一の心理がどうも把(つか)めないのであった。「拗(す)ねてやるといいのよ。わたしなんか泣いたりして困らしてやる」
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
満足げに首肯(うなず)き首肯き小高い土盛りの中央に月の光を背にして立った。今一度、勢よく軍刀の欛(つか)を背後に押しやって咳一咳(がいいちがい)した。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
表階子(おもてばしご)の口に懸(かか)れる大時計は、病み憊(つか)れたるやうの鈍き響を作(な)して、廊下の闇(やみ)に彷徨(さまよ)ふを、数ふれば正(まさ)に十一時なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
熱湯を浴びた二人(ふたり)が先に、𣠽(つか)に手を掛けた刀をも抜かずに、座敷から縁側へ、縁側から庭へ逃げた。跡の一人も続いて逃げた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
母に言付けられて、お俊は次の間に置いてある桐(きり)の机の方へ行った。実の使用(つか)っていた机だ。その抽匣(ひきだし)の中から、最近に来た父の手紙を取出した。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
けれども、天魔に魅入られたものと親父も愛相(あいそ)を尽(つか)して、唯(ただ)一人の娘を阿父さん彼自身より十歳(とを)ばかりも老漢(おやぢ)の高利貸にくれて了つたのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
津田は塞(つか)えた。小林を研究し尽した上でなければ確(しか)とした返事は与えられなかった。夫人は再び訊(き)き直した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
飢えた蒼鷹(くまだか)が小鳥を抓(つか)むのはこんな塩梅(あんばい)で有ろうかと思う程に文三が手紙を引掴(ひっつか)んで、封目(ふうじめ)を押切ッて、故意(わざ)と声高(こわだか)に読み出したが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その痩せたる姿、黄ばみし面は、あたりの草木のすくやかに生ひ立てると表裏(うらうへ)にて、冢(つか)を出でたる枯骨にも譬へつべし。
貫一は覚えず足を踏止めて、その瞪(みは)れる眼(まなこ)を花に注ぎつ。宮ははやここに居たりとやうに、彼は卒爾(そつじ)の感に衝(つか)れたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今にして思へば政海の波浪は自(おのづ)から高く自から卑(ひく)く、虚名を貪り俗情に蹤(お)はるゝの人には棹(さを)を役(つか)ひ、橈(かい)を用ゆるのおもしろみあるべきも
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
教会が一層懐(な)つかしくて——彼人(あのかた)の影が見えると只(たゞ)嬉しく、如何(どう)かして御来会(おいで)なさらぬ時には、非常な寂寞(せきばく)を感じましてネ、私始めは何のこととも気が着(つか)なかつたのですが、或夜
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
○「エ、なんだ、慌てるにも程があるもんでございますよ、私(わし)へぶっ付(つか)って、ハア、提灯(ちょうちん)もなにも消されて仕舞った」
かゝれ/\と刀柄(つか)をたゝけば、応と意気込む覚えの面々、人甲斐(ひとがい)も無き旅僧(たびそう)一人。何程の事やあらむと侮(あなど)りつゝ、雪影うつらふ氷の刃(やいば)を、抜き連(つ)れ抜き連れ競(きそ)ひかゝる。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
取る事出來ずと云ふを旁(かたはら)より一人が往手の道に立ち塞(ふさが)り否(いや)なら否で宜事(いゝこと)なり突(つか)れる咎(とが)は少しもなし何でも荷物を擔(かつが)せて貰(もら)はにや成らぬとゆすり半分喧嘩(けんくわ)仕懸(しかけ)に傳吉は何とか此場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
伯父といふものは借金(かり)を拵へたり、恋病(こひやまひ)に取(と)つ憑(つか)れたり、猫に祟(たゝ)られたりする甥(をひ)にとつては、少くとも一人は無くてならない実用品なのである。伯父は言つた。
「擽(くすぐ)ってえや、野郎、何が望みで人の身体を捜すんだ。臍(へそ)なんか摘(つか)むと噛み付いてやるぞ、畜生ッ」
まったくお話しに聞惚(ききと)れましたか、こちらが里(さと)離(はな)れて閑静な所為(せい)か、些(ちっ)とも気が附(つか)ないでおりました。実は余り騒々(そうぞう)しいので、そこを遁(に)げて参ったのです。しかし降りそうになって来ました。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鐵車(てつしや)の進歩(すゝみ)も兎角(とかく)思(おも)はしくない、運轉係(うんてんがゝり)の水兵(すいへい)も、此時(このとき)餘程(よほど)疲勞(つか)れて見(み)えたので、私(わたくし)は考(かんが)へた、人間(にんげん)の精力(ちから)には限(かぎり)がある、今(いま)からかゝる深林(しんりん)に突進(とつしん)するのは
ただ百姓の力を罷(つか)らし百姓の財を竭(つく)し、全国人民の肝脳を搾りてもって成就したるものなるを知るべし。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
押の強さうな用人に促(つか)まつて、錢形平次も悉(こと/″\)く降參してしまひました。
局に臨み交〻争ひ、雌雄未だ決せずば、毫釐も以て差(たが)ふ可からず。局勢已に羸(つか)れなば、精を専にして生を求めよ。局勢已に弱くば、意を鋭くして侵し綽(と)けよ。
囲碁雑考 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
一日平均五六百本の針に刺されて、色上げを良くする為め湯へ浴(つか)って出て来る人は、皆半死半生の体(てい)で清吉の足下に打ち倒れたまゝ、暫くは身動きさえも出来なかった。
刺青 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
退身(たいしん)爲(な)し流浪(るらう)の身と成りしが二君に仕へるは武士(さむらひ)の廉恥(はぢいる)所成れ共座して喰(くら)へば山も空(むな)し何れへか仕官(しくわん)に就(つか)んと思ひしに不幸にも永の煩(わづら)ひに夫も成らず困苦(こんく)に困苦を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
抦(つか)へ手をかけ身構える。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
正月は奴婢(しもべ)どもゝ少(すこ)しは許(ゆるし)て遊をなさしむるゆゑ、羽子(はご)を擢(つか)んとて、まづ其処を見たてゝ雪をふみかためて角力場(すまうば)のごとくになし、羽子は溲疏(うつぎ)を一寸ンほど筒切になし
そう思うと、わざ/\五万を越す大金を消(つか)って、園遊会をやったことまでが、馬鹿らしくなった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
屠手として是処に使役(つか)はれて居る壮丁(わかもの)は十人計(ばか)り、いづれ紛(まが)ひの無い新平民——殊に卑賤(いや)しい手合と見えて、特色のある皮膚の色が明白(あり/\)と目につく。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
使役(つか)ふと見てもよし、僕はまた君から助けられると見られても可(いゝ)——兎(と)に角(かく)、君は君で働き、僕は僕で働くのだ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
昼は九九しみらに打臥(ふ)して、夕(よひ)々ごとには壠(つか)のもとに詣(まう)でて見れば、小草はやくも繁(しげ)りて、虫のこゑすずろに悲し。
復(ふたた)びかしこに行きて念比(ねんごろ)にとぶらひ給へとて、杖を曳(ひ)きて前(さき)に立ち、相ともに壠(つか)のまへに俯(ふ)して声を放(あ)げて嘆きつつも、其の夜はそこに念仏して明かしける。
彼は先づかく会釈して席に着きけるに、婦人は猶も面(おもて)を示さざらんやうに頭(かしら)を下げて礼を作(な)せり。しかも彼は輙(たやす)くその下げたる頭(かしら)と拄(つか)へたる手とを挙げざるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
涙ながらに手を拄(つか)へて、吾が足下(あしもと)に額叩(ぬかづ)く宮を、何為らんとやうに打見遣りたる貫一は
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何にしても、扉の閾(しきい)の際(きわ)で、左足が停まるように定める必要があったのだ。何故なら、左足がその位置で停まると、続いて右足が動き出しても、それが中途で閾に逼(つか)えてしまうだろう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかし貴方が三たび(スライス)で逼(つか)えて、それ以後の韻律を失ってしまったのは、けっして偶然の事故ではないのですよ。その一語には、少なくとも匕首(あいくち)くらいの心理的効果があるからなんです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
も吐(つか)ず逃たりしが惡者共は何所迄もと猶も間近(まぢかく)逐來(おひきた)る故に半四郎は如何にもして逃行んとする機(をり)幸ひ脇道(わきみち)の有しかば身を飜(ひるが)へして逃込を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
吐(つか)せ給ひながら是は内々なり必ず沙汰(さた)す可(べか)らずと仰(おほせ)られたるが斯(かく)吉宗公が溜息(ためいき)を吐(つか)せ給ふは抑々(そも/\)天一坊の身の上を思(おぼ)し召(めし)ての事なり世の親の子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
脉(みゃく)を診るのに両方の手を押(つか)めえて考えるのが小一時(こいっとき)もかゝって、余り永いもんだで病人が大儀だから、少し寝かしてくんろてえまで、診るそうです
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
男が先へ入(ひえ)っていりゃア間(ま)を悪がって入(ひえ)れめえから、小(ちっ)さくなってると、誰もいねえと思ってすっと入(ひえ)って来ると、己(おら)アこゝにいたよって手を押(つか)めえて引入れると、お前(めえ)来ねえかと思ったよ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「その御子を取らむ時に、その母王(ははみこ)をも掠(かそ)ひ取れ五。御髮にもあれ、御手にもあれ、取り獲むまにまに、掬(つか)みて控(ひ)き出でよ」
「我は愛(うるは)しき友なれ二七こそ弔ひ來つらくのみ。何ぞは吾を、穢き死(しに)人に比(そ)ふる」といひて、御佩(みはかし)の十掬(つか)の劒を拔きて、その喪屋(もや)を切り伏せ、足もちて蹶(く)ゑ離ち遣りき。
ここにその建御名方の神の手を取らむと乞ひ歸(わた)して取れば、若葦を取るがごと、搤(つか)み批(ひし)ぎて、投げ離ちたまひしかば、すなはち逃げ去(い)にき。
また「いかにかねぎつる二」と詔りたまひしかば、答へて白さく、「朝署(あさけ)三に厠に入りし時、待ち捕へ搤(つか)み批(ひし)ぎて、その枝四を引き闕(か)きて、薦(こも)につつみて投げ棄(う)てつ」
実業家達は小才の利く調法な男を廉(やす)く傭使(つか)へるのだから徳用向きの仕入物を買倒(かひたふ)す気で居る。
青年実業家 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
図書は躊躇(ちゅうちょ)の後決然として進む。瞳(ひとみ)を定めて、夫人の姿を認む。剣夾(つか)に手を掛け、気構えたるが、じりじりと退(さが)る。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それからゆるやかな幾呼吸、微塵労疲(つか)れた気勢(けはい)もない。で、また賊はムラムラと散ったが、それでも逃げようとしないのは、不思議なほどの度胸であった。彼らは口々に警(いまし)め合った。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「院の北面に勤(つか)えまつる多田蔵人行綱(ただのくろうどゆきつな)でござる」と、いった。驚いて、その由を、主馬判官盛国(しゅめのほうがんもりくに)まで取次ぐと
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お弁当を喫(つか)って居るのが小結という、然(そ)ういう訳でもありますまいが、見た処は見上げる様で、胸毛があって膏薬(こうやく)の痕(あと)なぞがあって怖(こわ)らしい様でありますが、愛敬のあるものでございます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
嘗て長き試みに耐へ、フランス人(びと)の血染めの堆(つか)を築ける邑(まち)は今緑の足の下にあり 四三—四五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
辛未(かのとひつじ)、皇太子、使を遣(また)して飢者を視しむ。使者還(かへ)り来て曰く、飢者既に死(まか)りぬ。爰(ここ)に皇太子大(おほい)に之(これ)を悲しみ、則ち囚(よ)りて以て当処(そのところ)に葬(ほふり)埋(をさ)めしむ。墓(つか)固(つき)封(かた)む。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
死(し)の墟(つか)、——いかならむ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
玄徳の父母祖先の墳墓(つか)は、すべて涿郡(たくぐん)にあるので、母公は、婿の孝心を嘉(よみ)し、それに従うのはまた、妻の道であると、機嫌よく夫婦(ふたり)を出してやった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山川(やまかは)もよりて奉(つか)ふる神(かむ)ながらたぎつ河内(かふち)に船出(ふなで)するかも 〔巻一・三九〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「まあ、そんなもんじゃな。だが、一噌(いっそう)でなし千野流(ちのりゅう)でなし……どなたに師事(つか)れたの」
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大阪からながれてきたチヨダ・ビルのダンサー達が廃(つか)れた皮膚をしてアスハルトの冷たい街路に踊る靴をすべらした。
女百貨店 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
彼(かれ)は與吉(よきち)の無意識(むいしき)な告口(つげぐち)から酷(ひど)く悲(かな)しく果敢(はか)なくなつて後(あと)で獨(ひとり)で泣(な)いた。憤怒(ふんぬ)の情(じやう)を燃(もや)すのには彼(かれ)は餘(あまり)に彼(つか)れて居(ゐ)た。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うれしい皇軍(こうぐん)の赫々(かっかく)たる大戦果により、なんだかちかごろこの地球というものが急に狭くなって、鼻が悶(つか)えるようでいけない。これは作者だけの感じではあるまい。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
われ 烈しき森に切に憔(つか)れて
わがひとに与ふる哀歌 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
進んだり退いたり飛びあがったり飛びおりたり、ものの一時も闘っていたが、王の鶉の方がようやく懈(つか)れて来た。
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
溌(ぱっ)としちゃあ、お客にまで気を悪くさせるから伏せてはあろうが、お前さんだ、今日は剃刀を扱(つか)わねえことを知っていそうなもんだと思うが、楼(うち)でも気がつかねえでいるのかしら。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勇は秀子の豊満な腕を扼(つか)んで、母親に物を強請(ねだ)る子のように打ち振りました。秀子はそうされ乍らも、小娘のように、シクシクと泣いて居たのです。あの勝気の秀子が——
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
私は自分でこの運命を把握(つか)まないと同じやうに、あなたにも、負ふて戴かうとは思ひません。私共は苦しみ、忍ぶやうに生れて來てゐるのです——あなたも私と同じやうに。さうなさいまし。
「さうぢやねえんだよ、店臺(みせでえ)自分(じぶん)で歩(ある)き出(だ)し始(はじ)まつたから俺(お)れ抑(つか)めえた處(とこ)なんだよ」
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おまへが郵便局へ行きたいと云ふから、私(わたし)は男になつたりなどしないで、局長に逢(あ)つて女の儘(まま)で、採用(つか)つて貰ふことを一生懸命ですればいいと思つて居たよ。
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
『嬉遊笑覧』八に、この呪(じゅ)、もと漢土の法なり。『博物類纂』十に、悪犬に遇わば左手を以て寅(とら)より起し、一口気を吹き輪(めぐ)って戌(いぬ)に至ってこれを搯(つか)めば犬すなわち退き伏すと。
保は英語を操(つか)い英文を読むことを志しているのに、学校の現状を見れば、所望に愜(かな)う科目は絶(たえ)てなかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
彼の忿念(ふんねん)は刻々と燃えて、握りしめた柄刀(つか)に、微かな鍔鳴りがガタガタと聞かれだした。金井一角をさえ真ッ二つにした腕——三太刀振って三人を外さなかった春日新九郎だ。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女が株券を売って得た三千幾許(なにがし)の金は、彼の上衣(うわぎ)の内かくしに入っているに違いない。彼は貧乏している癖に、いい煙草と競馬に金を浪費(つか)うのが好きであった。
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
半歳近く病褥(とこ)に就いたり、起きたりしてうつら/\日を送っているうちに、持合せの金は大方消費(つか)って了(しま)った。遠く外国にいては金より他に頼みはない。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
水に涵(つか)つた桃林を、人は雨外套(レインコート)の襟をたてて足ばやに、暗いはうへ消えていつた。
雪 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
ある夏の夕方、仲善(なかよ)しの朋輩の一人が、荒縄の水に潰(つか)つたのを
「我馬玄黄風捲沙。又揮鞭策出京華。真成王事倥偬甚。辜負納涼辜負花。」〔我馬玄黄(つか)レ風沙ヲ捲ク/又鞭策ヲ揮ヒテ京華ヨリ出ヅ/真ニ王事ヲ成スハ倥偬甚シ/納涼ニ辜負シ花ニ辜負ス〕
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
御奉行様はあの一件の為にどれ程お痩(つか)れなさった事でございましょう。皆之(これ)天下の御為なのでございます。今思いましても有難い極みでございます。
殺された天一坊 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
堆(うづた)い死屍(しかばね)の上(うへ)を×(14)に酔(よ)ひ痴(つか)れて突(つ)き進(すゝ)んだ
窮するとは道に窮するの謂(いい)に非ずや。今、丘(きゅう)、仁義の道を抱き乱世の患に遭う。何ぞ窮すとなさんや。もしそれ、食足らず体瘁(つか)るるを
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
妾は気でも狂(ちが)ったのか知らと、お葉はつくづく自分の馬鹿馬鹿しさに愛想(あいそ)を竭(つか)した。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
急ぐ程に頓(やが)て宿場(しゆくば)共思はるゝ所へ出し頃は夜は白々(ほの/″\)と明放(あけはな)れ往來の旅人も多く有ければ兩人は漸々(やう/\)心落付初めて勞れを覺え先(ま)づ此邊にて一息(ひといき)繼(つか)んと茶見世に立寄て腰を掛ければ茶店の親父(おやぢ)は茶を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
やがて彼が出づれば、待ちけるやうに男は入替りて、なほ飽くまで此方(こなた)を向かざらんと為つつ、蕭索(しめやか)に浴(ゆ)を行(つか)ふ音を立つるのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
もちろん組合の費用は全部、費消(つか)っても構わない覚悟はきめていた訳だがそれでも多寡(たか)は知れている。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今日は、十五、六の小僧で減らず口のチャンピオンとでも言うべき定公を供に、もう一度脇坂様へ取り入ろうと、お贈(つか)い物を持って出かけて来たところ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
モンマルトルのピオレエの家へ洗濯料を払はずに来たことに気が附いて持つて行つたら、細君のブランシユが寝台(ねだい)の下から之(これ)が見附かつたと云つて晶子の遺(つか)つてた絵具箱を渡して呉(く)れた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛、与謝野晶子(著)
その傍に長くなって、ときどき障(つか)えながら講談本を声高らかに読み上げるのが、閑の日の勘弁勘次の仕事でもあった。
見れば成程割羽織(わりばおり)に草鞋(わらじ)はばき、両刀に鞘(つか)袋をかけた旅装でした。呉羽之介は振放しかねて
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
巡査は、ずるりと靴をずらして、佩剣(はいけん)の鞘手(つか)に居直ったのである。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これを泊(とま)り山といふ。(山にとまりゐて㕝をなすゆゑ也)さて夏秋にいたれば積(つみ)おきたる薪(たきゞ)も乾(かわく)ゆゑ、牛馬(ぎうば)を駆(つか)ひて薪(たきゞ)を家に運(はこ)びて用にあつる也。