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漬
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つか
ふりがな文庫
“
漬
(
つか
)” の例文
それだのに早くから文学に
陥
(
はま
)
って始終空想の
中
(
うち
)
に
漬
(
つか
)
っていたから、人間がふやけて、
秩序
(
だらし
)
がなくなって、真面目になれなかったのだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
一尺位の深い所まで水に
漬
(
つか
)
ると、二三度粟をといで水をごぼごぼ汲み入れ、再びうふふ、うふふ奇声を上げながら飛び出した。
土城廊
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
湯壺
(
ゆつぼ
)
は
花崗石
(
みかげいし
)
を
畳
(
たた
)
み上げて、十五
畳敷
(
じょうじき
)
ぐらいの広さに仕切ってある。
大抵
(
たいてい
)
は十三四人
漬
(
つか
)
ってるがたまには誰も居ない事がある。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
水のボトボトたれる潜水服を抱えているけれど、あまり時間が長く
経
(
た
)
つので、いまはこらえ切れなくなって、水に
漬
(
つか
)
ったままあくびの連発である。
地中魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ええ、ええ、そうです。おや、ごらんなさい、
向
(
むこ
)
うの
畑
(
はたけ
)
。ね。光の酒に
漬
(
つか
)
っては
花椰菜
(
はなやさい
)
でもアスパラガスでも
実
(
じつ
)
に
立派
(
りっぱ
)
なものではありませんか。」
チュウリップの幻術
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
「本當よ——食べて御覽なさいな。」メァリーも
優
(
やさ
)
しく繰り返した。そしてメァリーの手は、雨に
漬
(
つか
)
つた私の帽子をとつて、頭を持ち上げてくれた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
島が
箕
(
み
)
を振るように震動し、焼山から火を噴いて、三日の間、灰と岩石を降らした。みな東の入江に逃げ、三日三晩、首まで海に
漬
(
つか
)
って熱気をふせいだ。
藤九郎の島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
玉を溶かしたように美しいが、少し
微温
(
ぬる
)
いので、いつまでも
漬
(
つか
)
っていなくてはならない。流し場もなければ桶一つない、あたりに水もない殺風景なものだ。
白峰の麓
(新字新仮名)
/
大下藤次郎
(著)
人畜
(
じんちく
)
を挙げて避難する場合に臨んでも、なお濡るるを恐れておった卑怯者も、一度溝にはまって全身水に
漬
(
つか
)
っては戦士が
傷
(
きず
)
ついて血を見たにも等しいものか
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
見ればすぐそこの川の中には、裸体の少年がすっぽり頭まで水に
漬
(
つか
)
って死んでいたが、その
屍体
(
したい
)
と半間も隔たらない石段のところに、二人の女が蹲っていた。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
そこにはアルドラミン家の館の淡紅色の大理石の花形がある。そして、ロレンツオよ、君の住んでゐる館の赤み掛かつた壁と水に
漬
(
つか
)
つた三段の
石級
(
せききふ
)
とがある。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
腹まで水に
漬
(
つか
)
る場所に来て、馬は鼻面でちよつと水にふれ、首をふる。房一の足にもう少しで水がとゞきさうだ。瀬の音が急に下手から水面を匍ひ上つて聞える。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
「あッ、カムポス」と、思ったときは胸までも
漬
(
つか
)
っている。カムポスは、一度は血の気のひいたまっ蒼な顔になったが、やがて、観念したらしくにこっと折竹に
笑
(
え
)
み
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
アッと思う間に、
真逆様
(
まっさかさま
)
につり下げられた一寸法師の頭が、ザブッと酒樽の中に
漬
(
つか
)
った。緑さんの短い両手が、
空
(
くう
)
に
藻
(
も
)
がいた。パチャパチャと酒のしぶきが飛び散った。
踊る一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
生前美しかった娘子の黒髪が吉野川の深い水に
漬
(
つか
)
ってただよう趣で、人麿がそれを見たか人言に聞きかしたものであろう。いずれにしてもその事柄を中心として一首を
纏
(
まと
)
めている。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
一人だから食べ切れないで、
直
(
じ
)
きつき過ぎる、と云って、世話もなし、
茄子
(
なす
)
を
蔕
(
へた
)
ごと
生
(
しょう
)
のもので漬けてありました。
可
(
い
)
い
漬
(
つか
)
り加減だろう、とそれに気が着いて、台所へ出ましたっけ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
沢になって小流れがあるところの岩と水の間を、
無雑作
(
むぞうさ
)
に掘りひろげて、その中に
赤裸
(
せきら
)
な人間が七つばかり、すっぽりと
漬
(
つか
)
っている。しかも、それがみんな年の若い女ばかりでした。
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その夜、客あしらいのよい由玄の介抱で、久方ぶりの風呂にも
漬
(
つか
)
り、
固粥
(
かたかゆ
)
の振舞いにまで預ったところで、実は貞阿として
目算
(
もくさん
)
に入れてなかった事が持上った。雪はまだ
止
(
や
)
む様子もない。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
雇人の風呂場ではなく、家族の風呂場へ案内されて、一度はハッと気が付いたようでしたが、すっかり好い心持になっていた半蔵は、思い直して、少し酔った身体を風呂桶の中へ
漬
(
つか
)
りました。
銭形平次捕物控:012 殺され半蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大晦日
(
おおみそか
)
も、元日も、そこで越して
奈良漬
(
ならづけ
)
のように露八は
漬
(
つか
)
っていた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その部屋の隅にはアルコオルを満した、大きい
硝子
(
ガラス
)
の壺の中に脳髄が幾つも
漬
(
つか
)
つてゐた。彼は或脳髄の上にかすかに白いものを発見した。それは丁度卵の白味をちよつと
滴
(
た
)
らしたのに近いものだつた。
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
上機嫌の道臣はかう言つて、湯桶に
漬
(
つか
)
りながら
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
と、わしは湯ぶねに
漬
(
つか
)
ってから言った。
面
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
膝
(
ひざ
)
ぼしまで水に
漬
(
つか
)
つた郵便配達夫を
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
浮いた
脂
(
あぶら
)
のように落ち
漬
(
つか
)
つて
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
私が始終斯ういう感じにばかり
漬
(
つか
)
っていて、実感で心を引締めなかったから、人間がだらけて、ふやけて、やくざが
愈
(
いと
)
どやくざになったのは
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
浴客は皆で四人、学生らしいのが湯槽に
漬
(
つか
)
っているだけで、あとはそれぞれ流し場でごしごしと石鹸を使っていた。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
滅多
(
めった
)
な穴へ
這入
(
はい
)
るとまた腰きり水に
漬
(
つか
)
る所か、でなければ、例の
逆
(
さか
)
さの
桟道
(
さんどう
)
へ出そうで容易に踏み込めない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
上から三段目は水に
漬
(
つか
)
つたり水の上に出たりするので、湿つてぬる/\してゐた。
復讐
(新字旧仮名)
/
アンリ・ド・レニエ
(著)
その夜、客あしらひのよい由玄の介抱で、久方ぶりの風呂にも
漬
(
つか
)
り、
固粥
(
かたかゆ
)
の振舞ひにまで預つたところで、実は貞阿として
目算
(
もくさん
)
に入れてなかつた事が持上つた。雪はまだ
止
(
や
)
む様子もない。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
水に
漬
(
つか
)
った
一切
(
いっさい
)
の物いまだに手の着けようがない。その後も
幾度
(
いくたび
)
か雨が降った。乳牛は
露天
(
ろてん
)
に立って雨たたきにされている。同業者の消息もようやく判って来た。亀戸の
某
(
なにがし
)
は十六頭殺した。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
チャイコフスキーの結婚は、恐るべき不幸な
破綻
(
はたん
)
におわった。彼はますます無口になり、
憂鬱
(
ゆううつ
)
になり、その生活の重荷を振り払うために、霜の深い晩、川に
漬
(
つか
)
って自殺を企てたこともあった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
しまいには方角違いの処まで、ふらふらと見て廻った。水槽の中に折重なって
漬
(
つか
)
っている十あまりの死体もあった。
河岸
(
かし
)
に懸っている
梯子
(
はしご
)
に手をかけながら、その
儘
(
まま
)
硬直している三つの死骸があった。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
殺された女が事件を
他
(
よそ
)
に悠々と落ついて、たった一人で何時までも
湯槽
(
ゆぶね
)
に
漬
(
つか
)
っているなり、流しているふりしていたと考えれば、幾分合理性も認められるが、浴客中に
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうして暑くなると、海に入って行こうといって、どこでも構わず
潮
(
しお
)
へ
漬
(
つか
)
りました。その
後
(
あと
)
をまた強い日で照り付けられるのですから、
身体
(
からだ
)
が
倦怠
(
だる
)
くてぐたぐたになりました。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「千両の金の茶釜が、潮の差す井戸にたった五日
漬
(
つか
)
って、青い
緑青
(
ろくしょう
)
を吹いてるのは大笑いだ、こんなもので人寄せをやると、今度はお上じゃ
抛
(
ほ
)
っておかないぜ。——軽くて所払い、重くて遠島、獄門」
銭形平次捕物控:092 金の茶釜
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
黄色い
疎
(
まば
)
らな街燈に照らしだされた
馴染
(
なじみ
)
の裏街が、まるで水の中に
漬
(
つか
)
っているような気がしたし、
帆村
(
ほむら
)
のやつは帆村のやつで、黒いソフトを
名猿
(
めいえん
)
シドニーのように横ちょに被り
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あかに
漬
(
つか
)
つて、櫛が一つ——こいつは
鼈甲
(
べつかふ
)
ですよ」
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
漬
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
“漬”を含む語句
水漬
茶漬
漬物
塩漬
沢庵漬
湯漬
粕漬
漬菜
味噌漬
菜漬
新漬
鹽漬
柴漬
酢漬
砂糖漬
奈良漬
漬物樽
漬物桶
福神漬
山葵漬
...