つか)” の例文
もう、ずつとずつと以前、まだあたしが小さくて、おつかさんのそばにゐた頃に、あのお家のことで、なんか、それはそれは怖い物語おはなし
「おつかア! わツしや、ホトトギスの武夫と浪子のやうな清い仲にならうと思うたんぢや。若い衆のとは違ふ。悪いこつちやない!」
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
『だがマア、お父さんやおつかさんの意見も聞いて見なくちやならないし、それに祖父おぢいさんだつて何か理屈を言ふだらうしね。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
アラらしつたよ、チヨイとおつかさん旦那だんなが、うもまア貴方あなた本当ほんたうあきれるぢやアありませぬか、過日こなひだかいんなすつたぎりらつしやらないもんですから
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「おくにのおつかさんが贈つて下すつたものをあなたは今召し上つたんですよ。」と、ちよつと揶揄氣味からかひぎみで云つた。
母と子 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
「えつ! おつかあにさ。おつかあは此頃このごろ、すこし病氣びやうきしてゐるんだ」とはつたものの、こゝろなかでは「すまない、すまない」とをあはせるばかりでありました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
お節姉妹きやうだいは叔父さんのそばでお父さんのことやおつかさんのことや、それから年を取つた老婆おばあさん、叔父さんの子供と幾つも違はない末の弟の噂などをしきりとした。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
困つた人だな種々いろ/\祕密があると見える、おとつさんはと聞けば言はれませぬといふ、おつかさんはと問へば夫れも同じく、これまでの履歴はといふに貴君には言はれぬといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
せんには、おつかさんと一しよに、ゐなかの村のマカリッチさまといふ、だんなのうちにおいてもらつてゐました。お母さんはそのうちの女中になつて、はたらいてゐたのです。
てがみ (新字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「あの時は、わたし、山へ歸つてをりましたから、おつかさんが代りに來てた時でせう。」
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
ああおつかさんや姉さんと一所にここへ来たならばと、そればかり思ふておりました。
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
凧の絲の鋭い上にも鋭いやうに瀝青チヤンの製造に餘念もなかつた時、彼女かれは恐ろしさうに入つて來た、さうして顫へてる私に、Tonka John. おまへのおつかさんは眞實ほんとのお母さんかろ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
をりから一室處ひとまどころよりしうとこゑとして、よめうていはく、かぜしづかつゆしろく、みづあをく、つききよし、一山いつさんまつこゑ蕭々せう/\たり。うだね、一石いつせきかうかねと。よめこゑにて、あゝいわねえ、おつかさんとふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たまにはうまい酒も飮ましてやらないと、東京にゐる三田公のおつかさんに濟まないからなあ。姐さん、こいつのお母さんがねえ、田原さんせがれが大阪に參りましたら、ようく監督して下さい。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
つかさんと娘とで踊つてる組もある。一人紫紺しこん薄手うすで盛衣ロオヴを着て白い胸飾むねかざりをした、ほつそりと瀟洒せうしやなひどく姿のい女が折折をりをり踊場をどりばに出ては相手を求めずに単独で踊のむれを縫ひながら縦横にけ廻る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「そんなわからないこといつて、おつかさん。」
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
つかさんは、ちよいとにらむ真似をしました。
熊と猪 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
「あれは丸善まるぜんきんどんのおつかさんだよ。」
饒舌 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「おつかさん」と云つて子供が啼くに
未刊童謡 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
をとこうらめしさうにうちはうにらんで、泣く/\むかうへかうとすると、おとツつアんエーとつて女の子がけてるから、どうかおつかさんのところかへつてくれ
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
怖ろしさうにむかふを指さして『あれ! あれ! おつかさんが、きちがひみたいに踊つてるよ!』といふ。
『…………ですけど、おつかさんも少しひどいわね、昌作叔父さんに。私時々さう思ふ事があつてよ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「私はおつかさんの側には半歳はんとししか居ません。ホラ、叔父さんのとこから電報をよこして下すつたでせう。あの時はおつかさんは私を離したくないやうな風でしたけれど……」
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
困つた人だな種々いろいろ秘密があると見える、おとつさんはと聞けば言はれませぬといふ、おつかさんはと問へばそれも同じく、これまでの履歴はといふに貴君には言はれぬといふ
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
村田がまたどういふ譯ですか、性が合つてゐるとでもいふのですか、おつかさん/\と云つて、まるで自分の實の母親と同じやうに大事にして呉れましたの。お母さんも幸福でしたわ。
見学 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
つかさんのピニヨレは何時いつも白いしやで髪から首筋を包んで居てラフワエルのいた聖母像を想はしめる優しい面立おもだちの女だが、娘はおかあさん程美しくは無いけれど気立きだては更に一層素直であるらしい。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
しかし昂奮が去ると「あゝ、なんにもかも因縁因果といふもんぢやろ。おつかア諦めよう。……仕方がない。敏雄の成長を待たう。それまでに俺が死んだら何んとせうもんぞい」斯うも仰云おつしやいました。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
病氣びやうきときはね、おつかさんがたんだよ。」
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つかさんに話してあるから、よく聞くが宜しい
こわれ指環 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
眞實ほんとのおつかさんが、ほかにある。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
つかさんに つれられて
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
同じ名前はへんだと思つたから、「おつかさん、こゝに同じ名前があるが、これういふわけだらう」と聞くと
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
『奈何もしやしないけど、面白かつたわ。そして折角祖父さんばつかり攻撃してるのよ。旧時代の思想だの何のツてね……お父さんやおつかさんの事は言へないもんだから。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
こまつたひとだな種々いろ/\秘密ひみつがあるとえる、おとつさんはとけばはれませぬといふ、おつかさんはとへばれもおなじく、これまでの履歴りれきはといふに貴君あなたにははれぬといふ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そればかりか、この頃では、おつかさんまであたしにきつう眼を見張るやうになつたんだもの。ほんとのことを言へば、あたし異郷たびにゐた時の方がよつぽど楽しかつたと思ふわ。
私は一日も早く父が東京を引揚げて、あの年中榾火ほたびの燃えて居る爐邊の方へ歸つて行つて、老祖母おばあさんやおつかさんや、兄夫婦や、それから太助などと一緒に居て貰ひたいと思ひました。
「ぢや、おつかさんが何處へでもらつしやい。私は留守番しますから。」
仮面 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
それおつかさんがしかつてる。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つかさんにだつこして
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)
それだが正さん誰れが聞いても私が長吉に草履を投げられたと言つてはいけないよ、もし万一ひよつとつかさんが聞きでもすると私が叱かられるから、親でさへつむりに手はあげぬものを
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
アノわたしはね、浜町はまちやう待合茶屋まちあひぢややでございますがね、うもあたし性来うまれつき世辞せじがないんですよ、だもんだからおつかさんが、手前てめえやう無人相ぶにんさうぢやアいお客はやしないから世辞せじを買つていと
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
旅館に滞在するお父さんが鈴木の家の様子などを聞きに来ると、お節は叔父さんのおつかさん(彼女の祖父おぢいさんの妹)に何処どこか似たやうな快活な調子で地方にある大きな家庭の光景ありさまを話して聞かせた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「あんたとこのおつかさん、妖女ウエーヂマだつてほんと?」
つかさんは知らない
のきばすずめ (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
れだがしようさんれがいてもわたし長吉ちようきち草履ざうりげられたとつてはいけないよ、もし萬一ひよつとつかさんがきでもするとわたしかられるから、おやでさへつむりはあげぬものを
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしやおつかさんと
のきばすずめ (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
殺しはせぬから安心して、な、宜いか、見えるか、ゑ、見えるか、兄だよ、正雄だよ、気を取直して正気になつて、おとつさんやおつかさんを安心させてくれ、こら少し聞分てくれ、よ
うつせみ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしやおつかさんと
おさんだいしよさま (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
また馬鹿ばかなことをふよそんなよはだから病気びやうきがいつまでもなほりやアしないきみ心細こゝろぼそことつてたまへ御父おとつさんやおつかさんがどんなに心配しんぱいするかれません孝行かう/\きみにも似合にあはない。
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つば子よおつかさんと
青い眼の人形 (新字新仮名) / 野口雨情(著)