熊と猪くまといのしし
紀州の山奥に、佐次兵衛といふ炭焼がありました。五十の時、妻さんに死なれたので、たつた一人子の京内を伴れて、山の奥の奥に行つて、毎日々々木を伐つて、それを炭に焼いてゐました。或日の事京内は此んな事を言ひ出したのです。 「お父さん、俺アもう此ん …
作品に特徴的な語句
かみ ゐのしし せなか うつ つか あが おい 悪戯いたづら 気狂きちがひ 昨晩ゆふべ 強請ねだ わし みん 紀州きしう 引掻ひつか 屹度きつと 臥床ねどこ いや 喧嘩けんくわ おさ 嘲笑あざわら ため 一疋いつぴき 吃驚びつくり けだもの 見廻みまは 頂戴ちやうだい かし きば たぬき 疋共ひきとも つめ ふもと 駄々だだ 馬鹿ばか しき 足摺あしず もら あり かに やぶ かげ にら おれ 呶鳴どな しか 叮嚀ていねい たた 其所そこ ぼく 何所どこ 京内きやうない しま 乳頸ちくび つか 温順おとな 気儘きまま 此所ここ この くり しばら かたき くま おさ 或日あるひ 怪我けが 引除ひきの 山路やまみち 噛切かみき