“老婆”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ろうば31.1%
としより17.5%
ばあ7.8%
おばあ6.8%
らうば5.8%
ばあさん4.9%
ばゞ3.9%
おばあさん2.9%
ばば2.9%
ひと2.9%
ロツパ1.9%
ばばあ1.9%
ばあや1.9%
ばんば1.0%
おむな1.0%
ばうも1.0%
ばばア1.0%
ばゝ1.0%
ばゝあ1.0%
スコー1.0%
バン1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
やがて一人の老婆ろうばが群衆のなかからよろよろと出てきて、片手を額にかざし、その下からリップの顔をちょっとのぞいて、叫んだ。
源太早くも大方察して老婆としよりの心の中さぞかしと気の毒さたまらず、よけいなことしいだして我に肝煎きもいらせし清吉のお先走りをののしり懲らして
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「御勝手の道具で、売って幾何いくらにも成らないようなものは、皆なあの老婆ばあやにりましたよ」と豊世は附添えた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と森彦が款待顔もてなしがおに言出した。彼は宿の小娘を呼んで、御客様に踊を御目に掛けよ、老婆おばあさんにも来て、三味線しゃみせんを引くように、と笑い興じながら勧めた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いや、この老婆らうばに對すると云つては、語弊ごへいがあるかも知れない。寧、あらゆる惡に對する反感はんかんが、一分毎に強さを増して來たのである。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あの洋妾らしやめん上りの老婆ばあさんとは違つて、金はあつても壽命のない男だと見える。吾儕は斯の不幸な亭主の沈んで居るといふ洞を望んで通つた。
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あわたゞしき足音の廊下に高く成りて、お蘭さま御書見でござりまするか、濟みませぬがおくすりすこしと障子の外より言ふは老婆ばゞの聲なり
暗夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
仕出しの老婆おばあさんが、振りのぶら/\する、袖の長い着物を着てすましてゐたりするが、往來でも無自覺にめかしてゐるひとが多く目につく。
夏の女 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
今はせたる傘屋の先代に太つ腹のお松とて一代に身上しんじやうをあげたる、女相撲おんなすまうのやうな老婆ばばさま有りき、六年まへの冬の事寺参りの帰りに角兵衛の子供を拾ふて来て
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大人三人前を一手に引うけて鼻歌交り遣つてける腕を見るもの、さすがに目鏡と老婆ひとをほめける。
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
老婆ロツパは消えいらんばかりのかなしみと
長長秋夜 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
何にも知らないからし、老婆ばばあも、我等おれらと一所に働いた奴だ。人に悪事は饒舌しゃべるまい。惜くも無し、心配も無いが、高田の業突張ごうつくばり、大層怒ってな。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「私は老婆ばあやとお留守をしていつまでもここにおりましょう。そして兄さんのご決心がとげられるように神様へお祈りをしておりましょう」
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
老爺じんまはもう死んで五六年になるが、老婆ばんばはまだぴんぴんしておりますが、その老婆という奴がみょうな奴で、息子の嫁をまぜだしたりして、村でもとおり者でございます」
鍛冶の母 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
常陸ひたち鹿島かしまあたりの「土俗の習ひに、物の祝などある折、または祈事いのりごとをする日など」「老婆おむなたち多く集まり、弥勒謡みろくうたとて各声をあげて歌うたひ、太鼓を打ち」おどった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
後悔こうくわいの外には更にあらざりけり然ども大藤親子の者糊賣のりうり老婆ばうもお金まで彼方に在ては捨置難すておきがたしと三個みたりが衣類其の他をも此方より持せやり忠兵衞をして音羽町の二軒の家を終了せてすこし家財かざい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「オヤ何人どなたかと思ッたらお珍らしいこと、此間こないだはさっぱりお見限りですネ。マアお這入はいんなさいナ、それとも老婆ばばアばかりじゃアおいやかネ、オホホホホホ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今はせたる傘屋の先代に太つ腹のお松とて一代に身上をあげたる、女相撲のやうな老婆ばゝさま有りき、六年前の冬の事寺參りの歸りに角兵衞の子供を拾ふて來て
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
母子おやこぢやいよ、老婆ばゝあの方は月の初めから居るが、別嬪の方はツイ此頃だ、何でも新橋あたりの芸妓げいしやあがりだツてことだ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
ただ一人ウォールデンという名の老婆スコーだけが助かった、そして池はそれにちなんで名づけられたのである、と。
目のわろき老婆バンの土間にてきつつある
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)