老婆らうば)” の例文
いや、この老婆らうばに對すると云つては、語弊ごへいがあるかも知れない。寧、あらゆる惡に對する反感はんかんが、一分毎に強さを増して來たのである。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
○さてかの茶店さてんにて雪の氷をめづらしとおもひしに、その次日より塩沢しほざは牧之ぼくし老人が家にありしに、日毎に氷々こほり/\とよびて売来る、山家やまが老婆らうばなどなり。
結びて手拭かぶたへ布子ぬのこすそ端折はしをり片手かたてふるびし岡持下げ足元輕く立歸る老婆らうばは長屋の糊賣のりうりお金營業仕舞て這入來はひりく姿すがた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はるになつてゆき次第しだいけた或日あるひ墓場はかばそばがけあたりに、腐爛ふらんした二つの死骸しがい見付みつかつた。れは老婆らうばと、をとことで、故殺こさつ形跡けいせきさへるのであつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
れぬをんなこゑきつけ、またもやまどからくびしてると、日本髪にほんがみ日本服にほんふくおくさまらしいわかをんなと、その母親はゝおやかともおもはれる老婆らうば二人ふたりが、手桶てをけをさげた寺男てらをとこ案内あんないされて
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
下人は、老婆らうばをつき放すと、いきなり、太刀たちさやを拂つて、白いはがねの色をその眼の前へつきつけた。けれども、老婆は默つてゐる。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
是京師浪花おほざか食卓しつほく料理の初とかや。嘉兵衛娘はんといへるもの老婆らうばとなりて近頃まで存命せり、則今の佐野屋祖なり。
やぶ寸善すんぜん尺魔せきま俚言ことわざむべなる哉大藤武左衞門の女兒むすめお光は孝行のとくならず隣家となり老婆らうば婚姻こんいんの事如斯とふれ歩行あるくより思はぬ事の起りて喜ぶ幸ひも今ふりかは災禍わざはひもとを如何と尋るに此裏長家の家主を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○さてかの茶店さてんにて雪の氷をめづらしとおもひしに、その次日より塩沢しほざは牧之ぼくし老人が家にありしに、日毎に氷々こほり/\とよびて売来る、山家やまが老婆らうばなどなり。
あとに殘つたのは、唯、ある仕事しごとをして、それが圓滿ゑんまんに成就した時の、安らかな得意とくいと滿足とがあるばかりである。そこで、下人は、老婆らうばを見下しながら、少し聲をやはらげてかう云つた。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
是京師浪花おほざか食卓しつほく料理の初とかや。嘉兵衛娘はんといへるもの老婆らうばとなりて近頃まで存命せり、則今の佐野屋祖なり。
老婆らうばがいはく、此火のやうにもゆる処ほかにもあり、夜にいればこと/″\く火をもやすゆゑけものきたらずといへり。が江戸の目にはる所こと/″\く奇妙きめうなり。
老婆らうばがいはく、此火のやうにもゆる処ほかにもあり、夜にいればこと/″\く火をもやすゆゑけものきたらずといへり。が江戸の目にはる所こと/″\く奇妙きめうなり。