“おばあ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
祖母61.6%
老婆9.6%
老祖母8.2%
御婆6.8%
御祖母4.1%
阿婆1.4%
大叔母1.4%
老妻1.4%
老女1.4%
老媼1.4%
老母1.4%
脱衣婆1.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
曾祖母ひいばあさん、祖父おぢいさん、祖母おばあさん、伯父おぢさん、伯母おばさんのかほから、奉公ほうこうするおひなかほまで、家中うちぢうのものゝかほ焚火たきびあかうつりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「なにネ、若い方は兎角とかく耻づかしいもんですよ、まア其のうちが人も花ですからねエ——松島さん、たまには、老婆おばあさんのお酌もお珍らしくてう御座んせう」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「僕ですか、ずっと前に老祖母おばあさんの死んだ時に一度、母親おっかさんの葬式の時に一度——今度で三度目です」と三吉が言う。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「しかしもし中っていなければ迷惑する人が大分だいぶ出て来るでしょう。あの御婆おばあさんはわたくしと関係のない人だから、どうでも構いませんけれども」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「とうとう古つづらの中へ隠しました。このつづらは国を出る時御祖母おばあさんが餞別にくれたものですが、何でも御祖母さんが嫁にくる時持って来たものだそうです」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
父親は台湾とやら所在分らず、一人有ったが、それも亡くなった叔父の女房で、蒟蒻島こんにゃくじまで油揚の手曳てびきをしていた。余り評判のよくない阿婆おばあが、台所だいどこから跨込またぎこんで、帳面を控えて切盛する。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と顧みて、あとは阿婆おばあに云った。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは、ちか/″\に玉木たまき大叔母おばあちやんが、はる/″\曾祖母ばあばあをつれて、すゞちやんを見に来て下さるからでした。
ぽつぽのお手帳 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
ぽつぽは、それからこんどのおうちへつきました。そのじぶんには、すゞ子の曾祖母ばあばあは、まだ玉木たまき大叔母おばあちやんのところにいらつしやいました。あき子叔母をばちやんもまだ来てゐませんでした。
ぽつぽのお手帳 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
湯川うじが硫黄にこりだして、山谷さんやを宿とし、幾年か帰らなくなってから、老妻おばあさんはハタと生活にさしせまった。
木魚もくぎょの顔の老爺おじいさんが、あの額の上に丁字髷ちょんまげをのせて、短い体に黒ちりめんの羽織を着て、大小をさしていた姿も滑稽こっけいであったろうが、そういうまた老妻おばあさんも美事な出来栄できばえ人物ひとだった。
「それに先生、お花さんとやらに、老女おばあさんに、お二人までらつしやるので、何程どんなににぎやかとも知れませんよ、殿方ばかりのおうちは、何処どことなくおさびしくて、お気の毒で御座いましてネ」渡辺の老女はホヽ笑みつゝ「大和さん、貴郎あなたもマア、お勝手の方を ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
真面目まじめ会話はなしをしている時に、子供心にも、きつねにつままれたのではないかと、ふと、老媼おばあさんをあきれて見詰めることがあった。
こうしていて明日あす老母おばあさんに何といいます。あなた私の家の者を馬鹿にしているんだからそんなことは何とも思わないでしょうが、私が翌朝あす老母ばあさんに対して言いようがないじゃありませんか。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
美妙が大祖たいそと称するところの、八十五歳の養祖母おます婆さんは、木乃伊ミイラのごとき体から三途さんずの川の脱衣婆おばあさんのような眼を光らせて、しゅうとめおよしお婆さんの頭越しに錦子をにらめつけた。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)