御祖母おばあ)” の例文
このおっかさんの上に、また切下きりさげ御祖母おばあさんがいて、その御祖母さんがまた喜いちゃん喜いちゃんと呼んでいる。喜いちゃん御琴おこと御稽古おけいこに行く時間ですよ。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「とうとう古つづらの中へ隠しました。このつづらは国を出る時御祖母おばあさんが餞別にくれたものですが、何でも御祖母さんが嫁にくる時持って来たものだそうです」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御祖母おばあさんは去る大名の御屋敷に奉公していた。さるの年の生れだったそうだ。大変殿様の御気に入りで、猿にちなんだものを時々下さった。その中に崋山かざんいた手長猿てながざるふくがある。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
裏は御母おっかさんや、御祖母おばあさんが張物はりものをする所である。よしが洗濯をする所である。暮になると向鉢巻むこうはちまきの男がうすかついで来て、もちく所である。それから漬菜つけなに塩を振ってたるへ詰込む所である。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
不思議に怪我けがも何もしなかったのを、御祖母おばあさんが大層喜んで、全く御地蔵様が御前の身代りに立って下さった御蔭おかげだこれ御覧ごらんと云って、馬のつないであったそばにある石地蔵の前に連れて行くと
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)