老祖母おばあ)” の例文
「よくこんなに早く仕度して来てくれたッて、後でそう言って喜びました。私が行くまで、老祖母おばあさんの葬式も出さずに有りましたッけ」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「僕ですか、ずっと前に老祖母おばあさんの死んだ時に一度、母親おっかさんの葬式の時に一度——今度で三度目です」と三吉が言う。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
父の家出が世間へ伝わると同時に、豊世の生家さとからは電報を打って寄した。それには老祖母おばあさんの病気としてある。豊世は直に電報の意味を読んだ。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
このお杉の他に、稲垣の細君もやって来て、二人してお俊の為に晴の衣裳を着せるやら、帯をしめさせるやらした。直樹の老祖母おばあさんも紋付を着てやって来た。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
矢張お父さんは国の方に居て欲しい。早く東京を引揚げあの年中榾火ほたびの燃える炉辺の方へ帰って行って老祖母おばあさんやお母さんや兄夫婦やそれから正直な家僕などと一緒に居て欲しい。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
私は一日も早く父が東京を引揚げて、あの年中榾火ほたびの燃えて居る爐邊の方へ歸つて行つて、老祖母おばあさんやおつかさんや、兄夫婦や、それから太助などと一緒に居て貰ひたいと思ひました。
一日も早く父が東京を引揚げ、あの年中榾火ほたびの燃えている炉辺の方へ帰って行って、老祖母おばあさんや、母や、兄夫婦や、それから年とった正直な家僕なぞと一緒に居て貰いたいと思った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ふと、そんなところへ来る筈の無い老祖母おばあさんの顔が彼女の眼前めのまへに顕れた。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
直樹さんの家を御覧な、老祖母おばあさんが一人残ってる。強い証拠だ。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)