“老母”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
としより25.0%
はは13.6%
ろうぼ11.4%
らうぼ9.1%
おふくろ6.8%
ばあさん6.8%
ばあ4.5%
ばばあ4.5%
はゝ2.3%
ばば2.3%
おっか2.3%
おつかさん2.3%
おば2.3%
おばあさん2.3%
ばゝ2.3%
おばあ2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お通は、この老母としよりが息子の又八を盲愛する余り、ここへ来てもひどいことばをいいちらしたのみで、お吟が可哀そうでならなかった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前へ出ようとすると、自失したように棒立ちになっていた又八の手が、握っている刀の柄頭つかがしらで、いきなり老母ははの肩をどんと突いた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また松島まつしまでは、老母ろうぼ少女しようじよとがあはせてはうむつてありましたが、これはさだめし祖母そぼ孫娘まごむすめとが同時どうじ病死びようししたものをはうむつたものとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
申位なら去年紛失ふんじつの節訴へていたゞきますが私しは奉公の身の上なれば金は入らねどたゞ老母らうぼの病を治し度一心にて出ましたに名前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わしは長良川ながらがわの上流を、十里余ものぼって、たった独りの老母おふくろがいるせき宿しゅくの在、下有知しもずちという草ぶかい田舎いなかへ一本槍に帰って来た。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あつちややうや内儀かみさんのまへまれた。被害者ひがいしや老父ぢいさん座敷ざしきすみ先刻さつきからこそ/\とはなしをしてる。さうしてさら老母ばあさんんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
私は老母ばあさんのぶつぶつ言っているのを尻目しりめにかけながら座敷に上って喪心したようにどかりと尻を落してぐったりとなっていた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
それは洲崎町のとある角の、渠が何日でも寄る煙草屋の事で、モウ大分借が溜つてるから、すぐ顏を赤くする銀杏返しの娘が店に居れば格別、口喧くちやかましやの老母ばばあが居た日にはどうしても貸して呉れぬ。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
篠田の寂しき台所の火鉢にりて、首打ち垂れたる兼吉かねきち老母はゝは、いまだ罪も定まらで牢獄に呻吟しんぎんする我が愛児の上をや気遣きづかふらん、折柄誰やらんおとなふ声に
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
もう一度生きのびられるものだったら、今度こそはお老母ばばにもそむくまい、どんな孝行でもしてみせる。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あんなに私がしおれて正直に出たのだからお前の老母おっかさんがよもやうそをいいはすまい。そうすると嫁いているに違いない。嫁づいているとすれば、返すがえすも無念だ。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「ハア、——老母おつかさんも——」と、嫣然えんぜんとして上り来れるお花は、かしら無雑作むざふさ束髪そくはつに、木綿もめんころも、キリヽ着なしたる所、ほとんど新春野屋の花吉はなきちの影を止めず、「大和おほわさんは学校——左様さうですか、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「私の様なものはても世間へ面出かほだしが出来なからうと思ひましてネ、いつそ御迷惑さまでも、おうちで使つて戴いて、大和さんや、老母おばさんに何か教へて戴きたいと考へますの——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「それからねエ、おかあさま、ちょうどその時縁側を老母おばあさんが通ってね、すっかり聞いてしまッて、それはそれはひどくおこってね」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
現在の社会と比較するならば、虚無党の主張の方がむしたしかに真理に近いものです——私も百方慰め励まして、無分別のこと仕ない様に注意して、丁度ちやうど、夜の十時過、老母ばゝが待つてるからと
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
こうしていて明日あす老母おばあさんに何といいます。あなた私の家の者を馬鹿にしているんだからそんなことは何とも思わないでしょうが、私が翌朝あす老母ばあさんに対して言いようがないじゃありませんか。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)