“老父”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おやぢ25.0%
ちち20.0%
としより10.0%
ろうふ10.0%
ぢいさん5.0%
おじい5.0%
おやじ5.0%
じい5.0%
ぢい5.0%
らうふ5.0%
われ5.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
平常ふだんから鈍い方の頭が昨夜の故でスッカリ勞れ切つてボンヤリして、「老父おやぢが死んで、これから乞食をして國へ歸るのだ」
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
うちのものたちが、土手のはずれの方へいって、ワイワイ騒いでいるのだった。老父ちちも座敷の前の庭を横ぎっていった。
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「そんなことが出來るんかい。電燈も村へ來りや丸で斷る譯にや行くまいから、まあ義理に一つだけは付けることにしようが、畢竟ひつきやう無用の事ぢや。」と、老父としよりは云つた。
入江のほとり (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
これをた、せがれは、いくら達者たっしゃのようにえても、としをとられて、もうろくなされたのかしらんと、老父ろうふうえあんじて、なんとなくそれからはなしもはずまず、物悲ものがなしくなったのです。
銅像と老人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あつちややうや内儀かみさんのまへまれた。被害者ひがいしや老父ぢいさん座敷ざしきすみ先刻さつきからこそ/\とはなしをしてる。さうしてさら老母ばあさんんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「それをあたくしが知りますものかね。老父おじいさんが御存じじゃありませんか。」
田畑ある島と知れけりあげ雲雀、これは僕の老父おやじの句であるが、山のむこうには人家があるに相違ないと僕は思うた。と見るうち退潮ひきしおあとの日にひかっているところに一人の人がいるのが目についた。
忘れえぬ人々 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
モ一人ほかに知ってるものがあるそうで、始終母様がいってお聞かせの、それはあすこに置物のようにかしこまっている、あの猿——あの猿のもとの飼主であった——老父じいさんの猿廻さるまわしだといいます。
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あのさる—あのさるもと飼主かひぬしであつた—老父ぢいさんの猿廻さるまはしだといひます。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さて是より熊のはなし也、今一盃たまはるべしとてみづからつぎてしきりにのみこしより烟艸帒たばこいれをいだしてたばこのみなどするゆゑ、其つぎはいかにとたづねければ、老父らうふいはく、さてかたはらを見ればくゞるべきほどの岩窟いはあなあり
これはな願ひを聞くものかな、おそかれ早かれ、いづれ持たねばならぬ妻なれば、相應ふさはしき縁もあらばと、老父われも疾くより心懸け居りしぞ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)