“岩窟”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
がんくつ41.1%
いわや25.0%
いはむろ8.9%
イハムロ5.4%
いわあな5.4%
いはあな5.4%
いはや5.4%
いわむろ3.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
荒い岩山には、ぽかっと、まっ黒な岩窟がんくつらしい穴が、あちこちに見える。たくさんの海鳥が、あやしい鳴声をして、みだれ飛んでいる。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
鰹節かつおぶしや生米をかじって露命をつなぎ、岩窟いわやや樹の下で、雨露をしのいでいた幾日と云う長い間、彼等は一言も不平をこぼさなかった。
入れ札 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
扨て例の岩の裂け目を通り越して見ると、こゝは一つの岩窟いはむろです。窟の形は劇場の桟敷に似て居て、その周匝めぐりは急な崖です。
新浦島 (新字旧仮名) / ワシントン・アーヴィング(著)
纔かにさす薄光りも、黒い巖石が皆吸ひとつたやうに、岩窟イハムロの中に見えるものはなかつた。唯けはひ——彼の人の探り歩くらしい空氣の微動があつた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
だが——岩窟いわあなの中の耀蔵は、たおれなかった。一発は彼の脚をかすめ、一発は、岩窟の肌にぷすッと通った。——そしてあとの一発は、不発だった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ピストイアは我にふさはしき岩窟いはあななりき、われ導者に、彼ににぐる勿れといひ、また彼をこゝに陷らしめしは何の罪なるやを尋ねたまへ
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
舟は深碧の水もてめぐらされたる高き岩窟いはやに近づきぬ。ジエンナロは杖をふるひて舷側の水を打てり。われは且怒り且悲みて、傍より其面を打ち目守まもりぬ。
わずかにさす薄光りも、黒い巌石が皆吸いとったように、岩窟いわむろの中に見えるものはなかった。唯けはい——彼の人の探り歩くらしい空気の微動があった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)