岩窟いわむろ)” の例文
わずかにさす薄光りも、黒い巌石が皆吸いとったように、岩窟いわむろの中に見えるものはなかった。唯けはい——彼の人の探り歩くらしい空気の微動があった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
この屋敷だ! ……この屋敷だとするとあの地獄は——地獄のように恐ろしく、地獄のようにむごたらしく、……〽まぐさの山や底無しの、川の中地の岩窟いわむろの……その地獄、その地獄は
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
岩窟いわむろの中だ岩窟のな。……向こうにある、行ってみよう」
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
岩窟いわむろは、沈々とくらくなって冷えて行く。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
変えてお尋ねいたす。例の歌の末段に〽まぐさの山や底無しの、川の中地の岩窟いわむろにと、こういう文句がござりまするが、そこに大方その黄金、埋没されて居りたるものと、この拙者には思われまするが、そのような境地が領内に……?
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)