“いわあな”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
巌穴30.4%
岩穴26.1%
岩窟13.0%
13.0%
巌窟4.3%
巌洞4.3%
厳穴4.3%
窟穴4.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その、大蒜にんにく屋敷の雁股かりまたへ掛かります、この街道かいどう棒鼻ぼうばなつじに、巌穴いわあなのような窪地くぼちに引っ込んで、石松という猟師が、小児がきだくさんでもっております。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ふむ、あの探偵と小僧とが、脱走をしようとおもって岩穴いわあなをくずしているのかもしれない。きっとそれにちがいない。うむ、ひどい目にあわせてくれるぞ」
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しばらく行くと眼の前に岩窟いわあなの口があらわれた。すかして見ると窟内くつない焚火たきびがトロトロと燃えている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
御存じでしょうか。——かの山と雲の棧道かけじ騾馬らばは霧の中に道を求め、いわあなには年経し竜のたぐい棲む……
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
巌がぐるりとえぐれて地の底深く陥窪おちくぼんだ処が脚下あしもとに見えた。李張は躊躇ちゅうちょせずにその巌窟いわあなへはいった。人の背丈せたけ位の穴がななめにできていた。
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
二人で共謀して、私が帰省しようとして、山の中途までおりたところを、うしろからつけて来てなぐりつけ、死骸は巌窟いわあなの中にかくして、世間へは虎にわれたと云いふらして
悪僧 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
余りいぶかしければ、はるかに下流より遠廻りにその巌洞いわあなに到りて見れば、女、美しきつまも地につかず、宙に下る。黒髪をさかさに取りて、いわの天井にひたとつけたり。
遠野の奇聞 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
はやき流れの谿河たにがわを隔てて、大いなる巌洞いわあなあり。水の瀬激しければ、此方こなたの岸より渡りゆくもの絶えてなし。一日あるひ里のもの通りがかりに、その巌穴の中に、色白く姿乱れたる女一人立てり。
遠野の奇聞 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すかして見ると、灰色の浪を、斜めに森のなかにかけたような、棟の下に、薄暗い窓の数、厳穴いわあなの趣して、三人五人、小さくあちこちに人の形。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれども非常な降雨で御飯をべる所もないという訳で誠に困りましたが、もう少し行くと大きな窟穴いわあながあるというので其穴そこまで急いで参りまして
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)