けれど窟の口には、彼女の力ぐらいでは、動きそうもない大きな岩が、三つ四つ積み重ねてあり、出入りを封鎖してあるのだった。
ばばは、窟から飛び出ると、いきなりお通の襟がみへ跳びかかって行った。この世へ生きて出直した目的の第一がそれであったように。
しかし、その幻覚が、幻覚でなく、実際に誰か窟の外へ近づいて来たので、ばばは、途端に気がゆるんで、ああ、と失心してしまったのではなかろうか。
“窟(やぐら)”の解説
やぐらは、現在の神奈川県鎌倉市にあたる相模国鎌倉とその周辺地域で、鎌倉時代中期以降から室町時代前半にかけて造られ使用された、横穴式の納骨窟または供養堂である。鎌倉市教育委員会によると、3000基以上が確認されている。現在では土砂崩れや宅地開発で破壊されたものも多く、残ったやぐらも風化で苔むした洞穴にしか見えないが、建立当時の内装は豪華であった。火葬人骨のほか多くの副葬品が納められていた。
(出典:Wikipedia)
(出典:Wikipedia)