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棧道
景色は
大いが
變化に
乏しいから
初めての
人なら
兔も
角、
自分は
既に
幾度か
此海と
此棧道に
慣れて
居るから
強て
眺めたくもない。
江の
浦へ一
時半の
間は
上であるが
多少の
高低はある。
下りもある。
喇叭も
吹く、
斯くて
棧道にかゝつてから
第一の
停留所に
着いた
所の
名は
忘れたが
此處で
熱海から
來る
人車と
入りちがへるのである。
御存じでしょうか。——かの山と雲の
棧道、
騾馬は霧の中に道を求め、
窟には年経し竜の
族棲む……