岩穴いわあな)” の例文
だまって、しんぱくのはなしをきいていたいわつばめは、きゅうぶるいをしました。そして、あわてて岩穴いわあなかえってゆきました。
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ふむ、あの探偵と小僧とが、脱走をしようとおもって岩穴いわあなをくずしているのかもしれない。きっとそれにちがいない。うむ、ひどい目にあわせてくれるぞ」
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
じょうくらいながさのある、まっくらな岩穴いわあなの中をくぐってそとへ出ますと、さあさあとおとてて、ちいさな谷川たにがわながれているところへ出ました。そのときおじいさんたちはふりいて
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
南無三なむさん呼子よびこをふいた部将が抜刀ばっとうをさげて、あっちこっちの岩穴いわあなをのぞきまわっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とが白樺しらかばなどがいじけた枝を張ってぼつぼつ生えている間を通って、山のうねになったところを廻ると、大きな岩のそびえている下へ出た。そこにはこけの生えた清水のたまっている岩穴いわあながあった。
神仙河野久 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
いと深き岩穴いわあなは蔭をなせり。
そして、あなたたちが、岩穴いわあななかで、こうもりのおばあさんからきいた、不思議ふしぎのおとぎばなしをおしえてくだされば、わたしは、西風にしかぜのうたっていたきたくにうたをうたってきかせますよ。
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あっちこっちの岩穴いわあなからムクムクと白いものをいている、あさきりである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あなたたちは、岩穴いわあななかでゆっくりねむりなさるがいい。かれこれするうちに、じきに四、五がつごろとなります。あの水晶すいしょうのようにあかるい雪解ゆきどけのはる景色けしきはなんともいえませんからね。
しんぱくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)