巌穴いわあな)” の例文
旧字:巖穴
「この山の南二百余里のところに、天にそびゆる大きい巌穴いわあながございます」と、猩々は言った。「そのなかに長さ数百尺の巴蛇うわばみが棲んで居ります。 ...
その、大蒜にんにく屋敷の雁股かりまたへ掛かります、この街道かいどう棒鼻ぼうばなつじに、巌穴いわあなのような窪地くぼちに引っ込んで、石松という猟師が、小児がきだくさんでもっております。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
土寇の群は掠奪りゃくだつをほしいままにして、家を焼き、巌穴いわあなかくれている者まで捜し出して、殺したりとりこにしたりしていったのであった。甘の家ではますます阿英を徳として、神のように尊敬した。
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
このあたりに、荒城あらき狭屋さやとなえて、底の知れない断崖きりぎし巌穴いわあながあると云って、義経の事がまた出ました。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
巌穴いわあなの底も極めたければ、滝の裏ものぞきたし、何か前世の因縁で、めぐり逢う事もあろうか、と奥山の庚申塚こうしんづかに一人立って、二十六夜の月の出を待った事さえあるんです。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
湯の噴出ふきだします巌穴いわあなき横手にござりますんで、ガタリといえば、ワッと申す、同一おなじ気のまよいなら、真先まっさきがけの道理なのでござりますが、様子を承りますと、何、あすこじゃまた、北隣の大島楼が
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうぞ、その、そのさきに先生、どこへか、人の居ない、谷底か、山の中か、島へでも、巌穴いわあなへでも、お連れなすって下さいまし。もう、貴下あなたにばかりも精一杯、誰にも見せられます身体からだではないんです。」
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)