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岩窟
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がんくつ
ふりがな文庫
“
岩窟
(
がんくつ
)” の例文
荒い岩山には、ぽかっと、まっ黒な
岩窟
(
がんくつ
)
らしい穴が、あちこちに見える。たくさんの海鳥が、あやしい鳴声をして、みだれ飛んでいる。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
二岩団三郎は神社として祭られてあり、かつ、その所住と称せらるる
岩窟
(
がんくつ
)
にはたえず
参詣
(
さんけい
)
者があって、赤飯や
餅
(
もち
)
などを供えて置く。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
其所
(
そこ
)
で、
其
(
その
)
岩窟
(
がんくつ
)
なる
物
(
もの
)
が、
抑
(
そもそ
)
も
何
(
な
)
んであるかを
調
(
しら
)
べる
必用
(
ひつよう
)
を
生
(
しやう
)
じ、
坪井理學博士
(
つぼゐりがくはかせ
)
の
第
(
だい
)
一の
探檢調査
(
たんけんてうさ
)
となつた。それは九
月
(
ぐわつ
)
十二
日
(
にち
)
であつた。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
爾後
(
じご
)
、
餓
(
う
)
うるときは鉄丸を
喰
(
くら
)
い、
渇
(
かっ
)
するときは銅汁を飲んで、
岩窟
(
がんくつ
)
の中に封じられたまま、
贖罪
(
しょくざい
)
の期の
充
(
み
)
ちるのを待たねばならなかった。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
おお、あそこの
岩窟
(
がんくつ
)
のなかに据えたならば、等身の、マリア観音そのままだと、モルガンがお雪を
愛撫
(
あいぶ
)
する心は、尊敬をすらともなって来た。
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
▼ もっと見る
せっかく手に入れた操縦器をぶちこわすのは、残念だが、どうも仕方がない。帆村は、その
岩窟
(
がんくつ
)
の隅にもたせてあった大きな鉄の棒をとりあげた。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ばり、ばり、と枯木や、落葉を踏みしめて来た谷間の
岩窟
(
がんくつ
)
——
陽
(
ひ
)
あたらずの岩壁——魔の口のような真っ暗な岩屋牢。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昼
(
ひる
)
は
猟
(
かり
)
して
獣
(
けもの
)
を
食
(
しよく
)
とし、夜は
樹根
(
きのね
)
岩窟
(
がんくつ
)
を
寝所
(
ねどころ
)
となし、
生木
(
なまき
)
を
焼
(
たい
)
て
寒
(
さむさ
)
を
凌
(
しのぎ
)
且
(
かつ
)
明
(
あかし
)
となし、
着
(
き
)
たまゝにて
寝臥
(
ねふし
)
をなす。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
どこの
岩窟
(
がんくつ
)
の間から出て来たか、雪のある山腹の方からでも降りて来たかというふうで、山にはこんな人が生きているのかということが、半蔵を驚かした。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
背景には、いちめん
岩窟
(
がんくつ
)
の道具だて、そのまんなかに、一つの部屋があり、ふしぎなかたちの機械や、化学実験の道具などが、ところせまく、ならんでいます。
怪奇四十面相
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
木曽川の岩頭
巴
(
ともえ
)
ヶ
淵
(
ふち
)
で、花村甚五衛門の
刃
(
やいば
)
にかかって危く
非業
(
ひごう
)
に死のうとした時、不思議に命を助けられた、
岩窟
(
がんくつ
)
の中の老異人、それを思い出しているのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たま/\人を捕へては我住む
岩窟
(
がんくつ
)
に連れゆき、強ひて夫婦のかたらひを求む。我心に従はざるときは其人を殺せり。力強くして丈夫に敵す。好みて人の小児を盗む。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
三
(
さん
)
の
公谷
(
こだに
)
と云う
渓合
(
たにあ
)
いに移り、そこに王の
御殿
(
ごてん
)
を建て、神璽はとある
岩窟
(
がんくつ
)
の中に
匿
(
かく
)
していたと云う。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
次
(
つ
)
ぎに
竈
(
かまど
)
地獄を見た。これは地中の鬼がうめくような声を発して、
岩窟
(
がんくつ
)
の中から熱気を吐き出しているのである。その熱気で蒸したアンコのないまんじゅうがおいしかった。
別府温泉
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「老体になっておりまして、
岩窟
(
がんくつ
)
を一歩出ることもむずかしいのですから」
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
が、
魔
(
ま
)
の
棲
(
す
)
むべき
岩窟
(
がんくつ
)
を、
嘗
(
かつ
)
て
女賊
(
ぢよぞく
)
の
隠
(
かく
)
れ
家
(
が
)
であつたと
言
(
い
)
ふのは
惜
(
をし
)
い。……
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
数ヵ月前、富士男が失望湾の浜辺で発見したという
岩窟
(
がんくつ
)
に
居
(
きょ
)
をかまえ、ニュージーランド川の森で
猟
(
りょう
)
をして食糧にあてれば、眠食ともに不自由なく、気ままの生活ができる、というのである。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
畢竟
(
ひっきょう
)
はそういうものをいかにして取り扱ってよいかという見当がつかなかったせいもあろうが、一つにはまた物理学がその「伝統の
岩窟
(
がんくつ
)
」にはまり込んで安きを
偸
(
ぬす
)
んでいたためとも言われうる。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
一
同
(
どう
)
は
大動搖
(
だいどうえう
)
を
始
(
はじ
)
めた。
早
(
はや
)
く
中
(
なか
)
が
見
(
み
)
たいからである。けれども
永
(
なが
)
く
密閉
(
みつぺい
)
せられてある
岩窟
(
がんくつ
)
の
内部
(
ないぶ
)
には、
惡瓦斯
(
あくぐわす
)
を
發生
(
はつせい
)
して
居
(
ゐ
)
るに
相違
(
さうゐ
)
ない。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
また、彼らの
口碑
(
こうひ
)
に伝うるところによれば、先祖は山上の
岩窟
(
がんくつ
)
の間より生まれ出でたりとも、あるいは天より降りきたれりとも申しておる。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「それはね、昔、外国船の難破した人たちが、この無人島に流れついて、七年間も、
岩窟
(
がんくつ
)
に住んでいた。そして、うえ死にしたということだ」
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
あたりは、
岩窟
(
がんくつ
)
に入ったように真暗で、そして
雹
(
ひょう
)
がとんでいた。折々ぴかりとはげしい電光が、密雲の間で光った。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
広太郎の眼前に展開されている部屋は、広さおおよそ二十畳敷きぐらい、自然と出来た
岩窟
(
がんくつ
)
で、その正面の奥深いところに、人工を加えた祭壇があり、その上に巨像が立っていた。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大和の
三輪
(
みわ
)
の神話と豊後の尾形氏の古伝とは、或いはその系統を一にするかとの説あるにもかかわらず、後者においては神は誠に遠慮勝ちで、
岩窟
(
がんくつ
)
の底に潜んで永く再び出でなかった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
やっぱり海の底の
岩窟
(
がんくつ
)
なのか、千代子には一切様子が分らず、怖いと思えば此上もなく怖いのですけれど、その様なことよりは、指先を、血が通う程も握り合った、男の腕の力が嬉しくて
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
羞
(
はずか
)
しいことだが、今でも、こんなあさましい身と成り果てた今でも、
己
(
おれ
)
は、己の詩集が
長安
(
ちょうあん
)
風流人士の机の上に置かれている様を、夢に見ることがあるのだ。
岩窟
(
がんくつ
)
の中に横たわって見る夢にだよ。
山月記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
やがて、かれは薄暗い
岩窟
(
がんくつ
)
から外へ
這
(
は
)
いだした。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今
(
いま
)
この
岩窟
(
がんくつ
)
を
説明
(
せつめい
)
するに、
最
(
もつと
)
も
解
(
かい
)
し
易
(
やす
)
からしめるには、
諸君
(
しよくん
)
の
腦裡
(
のうり
)
に、
洋式
(
ようしき
)
の
犬小屋
(
いぬごや
)
を
畫
(
ゑが
)
いて
貰
(
もら
)
ふのが一
番
(
ばん
)
だ。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
二人は、また
岩窟
(
がんくつ
)
にかえり、
手提電灯
(
てさげでんとう
)
をさがしてから、改めて山を下っていった。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
衣として住む。近代信濃の深山に
岩窟
(
がんくつ
)
あり、之に遊びて年未だ老いず
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
すでに二岩神社として祭られている。余も
佐州
(
さしゅう
)
客居中これを訪問して見たが、相川より半里ばかり隔つる山頂に天然の
岩窟
(
がんくつ
)
がある。その中に二岩団三郎と称する貉の
巨魁
(
きょかい
)
が住んでいるとの伝説である。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
岩窟
(
がんくつ
)
の押し
問答
(
もんどう
)
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
岩
常用漢字
小2
部首:⼭
8画
窟
常用漢字
中学
部首:⽳
13画
“岩窟”で始まる語句
岩窟内
岩窟堂
岩窟牢
岩窟神社