“偸”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぬす96.6%
と0.5%
た0.5%
たの0.5%
ぬすみ0.5%
ぬすん0.5%
ひそか0.5%
ヌス0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
暫くしてそつと偸(ぬす)み見をすると、あの人は如何にもものを内に向いて考へるやうな眼付をして、ぢいつと一つところを見つめて居る。
脱殻 (新字旧仮名) / 水野仙子(著)
それも急性胃加答児(いカタル)で偸(と)られたのだと云うから、事に寄ると祖母が可愛がりごかしに口を慎ませなかった祟(たたり)かも知れぬ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
いちぶ一什(しじゅう)は、のべつ隣の王婆が、裏の台所口へ来ては、偸(た)ち聞きしている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで勢い他の力に頼って一日の安きを偸(たの)むようになる。その結果は亡国。朝鮮はこれをやって、とうとうああいう末路を見た。しかしこれを以て直(ただ)ちに侵略的の意味に誤解されては甚だ困る。
堅気な奉公をしたことのない女のように、ときどき私や妻の方を偸(ぬすみ)みる瞳が素早かった。
童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
影の如く幻の如く、近づくものがある、足音を偸(ぬすん)でも「或る物」は「無き物」よりも、隠然たる権威を挟んで予(あらかじ)め一種の警告を与えるものである、彼は忍びて先(ま)ず、自分たちが生きているのか
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
宮は美き目を挙げて、求むるところあるが如く偸(ひそか)に男の顔を見たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
母ハ我ガ胎(ハラ)ナリ、胎ハ我ガ身命ノ基(モト)ナリ。一命元ヨリ君家ニ託(タク)セド、君家未ダ兵馬ノ命ヲ発セズ、猶一日ノ無事アルヲ窺(ウカガ)ヒ、即チ、質(シチ)ノ母ヲ偸(ヌス)ミ、御辺ノ義ヲ欺(アザム)ク。罪大ナレド、非義ヲ咎(トガ)ム勿(ナカ)レ。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)