“ぬす”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヌス
語句割合
53.8%
19.5%
14.8%
4.9%
3.3%
1.9%
偸視0.5%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
枇杷の実はわたくしが始めて心づいたその翌日あくるひには、早くも一粒をも残さず、近処の蝉取せみとりに歩く子供等のぬすみ去るところとなった。
枇杷の花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「さあおあがりなさい。これは天国の天ぷらというもんですぜ。最上等さいじょうとうのところです」といながらぬすんで来たかくパンを出しました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そこで昔かの邸で金皿をぬすみそれより身代を持ち返した仔細を告げ、代金と礼物を納められよと勧めたが取り合わず。汝は実に狂人だ。
ソコでぬすむが如くに水を飲んで、抜足をして台所を出ようとすると、忽ち奥坐舗の障子がサッと開いた。文三は振反ふりかいッて見て覚えず立止ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
小賊せいぞくかずして、すなはかたなつてゆびつてたまぬすむや、ゆびよりくれなゐいとごとほとばしりぬ。頭領とうりやうおもてそむけていはく、於戲痛哉あゝいたましいかな
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『論語』(子路)を見ると、直躬といふ者が、その父が他人の羊をぬすんだ内事を、官憲に訴へ出たことを、孔子は人情に背ける行爲と非難して
『ハ。』と又頭を下げて、其拍子に昌作の方をチラと偸視ぬすむ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
その間にも或る夜の畑の中で盗人を見つけた一人の村人が、永追いをして斬られ、深傷ふかでを負った。そして畑の作物はぬすみ取られ、いやがうえに村人のいきどおりをり立てることになったのである。
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
孔子曰く、君子もとより窮す。小人窮すればすなわちぬす(窃)む。子貢、色をす。孔子曰く、よ、なんじ、予を以て多く学びて識れるひととなすか。曰く、しかり、しからざるか。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
図書は再び眼の隅で宇女をぬすみ視した。
三十二刻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
又、周のはじめ七七武王ぶわう一たびいかりて天下の民を安くす。臣として君をしいすといふべからず。じんぬすみ義を賊む、一ちうちゆうするなりといふ事、七八孟子まうじといふ書にありと人の伝へに聞きはべる。