“しの”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:シノ
語句割合
47.7%
23.7%
15.8%
9.3%
信乃0.8%
志野0.3%
志乃0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.1%
小竹0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
追憶0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
はたけえ、牧場ぼくじょうえてはしってくうち、あたりは暴風雨あらしになってて、子家鴨こあひるちからでは、しのいでけそうもない様子ようすになりました。
張交はりまぜふすまには南湖なんこだの鵬斎ぼうさいの書だの、すべて亡くなった人の趣味をしのばせる記念かたみと見るべきものさえもとの通りり付けてあった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
初恋にう少年少女のたわいのない睦言むつごとりに過ぎないけれども、たがいに人目をしのんでは首尾していたらしい様子合いも見え
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
なぜなら、らんまんたる桜の咲きさかる春のような、またはしのつく豪雨のカラリと晴れた、夏のような風情ふぜいは彼女にはそぐわなかった。
白粉おしろい臭い、汗くさい変な香がこもった中で、自分は信乃しの浜路はまじの幽霊と語るくだりを読んだ。夜のふけるにつれて、座敷のほうはだんだんにぎやかになる。
竜舌蘭 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
その上役の志野しの捜査課長と、明智小五郎とが、いっぽうの机をかこんで、イスにかけ、そのまえに、手じょうをはめられた怪老人が、やはりイスにかけて、うなだれていました。
透明怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
正直ですら払底ふっていな世にそれ以上を予期するのは、馬琴ばきんの小説から志乃しの小文吾こぶんごが抜けだして、向う三軒両隣へ八犬伝はっけんでんが引き越した時でなくては、あてにならない無理な注文である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
とめと しのばるる 尼のみ寺の みほとけや 幾世へにけむ 玉の手の 光りふふみて かそけくも 微笑ゑませたまへる にふれつ 朝な夕なに おもはすは きその嘆きか うつし世の 常なきうれひか 頬にふるる 指のあはひに 春ならば くれなゐの薔薇ばら 秋日には
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
「今じゃそうも行かない。これでも山じゃしのうとしたことさえあったっけがね」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
月光はその溝の中にまでしのび入って、美しい縞を作っている。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
うち靡く春さりくればしののうれに尾羽うちふれて鶯なくも 万葉 一〇
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
左すれは貴公の鑑定では先ず奸夫まおとこと見たのだナ奸夫かんぷが奸婦としのび逢て話しでも仕て居る所へ本統の所夫おっとの不意に帰って来たとか云う様な訳柄わけがらで(大)爾です全く爾です
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ここに八尋白智鳥しろちどりになりて、天翔あまがけりて、濱に向きて飛びいでます。ここにその后たち御子たち、その小竹しの苅杙かりばねに、足切り破るれども、その痛みをも忘れて、哭きつつ追ひいでましき。
宮がおしのび場所からお帰りになったのかと思っていたが、露に湿った空気が薫の持つ特殊のにおいを運んできたためにだれであるかを悟り
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
そこより幸でまして、能煩野のぼの一三に到ります時に、國しのはして歌よみしたまひしく
四辺あたりを憚ったしのび音だ。
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
女房のおしのと、老番頭の佐助と、殺された梅吉と、幾太郎の妹のお榮と、幾太郎の許嫁のお桃と、下女のお仲だけと判りました。
。言ふと其儘、門のとびらに身をせて、聲をしのびて泣き居たり。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
其処で私は襤褸ぼろを纏い顔にローレルの粉を塗り、頭に馬皮の帽子を冠り、馬乳を入れたニッケル筒を藤蔓で左の脇下へ垂らし、桜の柄の付いた拳銃を上衣のかくしへしのばせました。
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かれその國主こにきしの子心奢りて、りしかば、その女人の言はく、「およそ吾は、いましになるべき女にあらず。吾がみおやの國に行かむ」といひて、すなはちしのびて船に乘りて、逃れ渡り來て
此処ここでは流石さすがに欧洲の覇者であつた昔が追憶しのばれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)