志野しの)” の例文
この織部といつも一緒に挙げられるのは「志野しの」と呼ばれるもので、半透明な厚い白釉しろぐすりの下に、鉄で花や草などを簡素に描いた焼物であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
その上役の志野しの捜査課長と、明智小五郎とが、いっぽうの机をかこんで、イスにかけ、そのまえに、手じょうをはめられた怪老人が、やはりイスにかけて、うなだれていました。
透明怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
瀬戸せとかまは古くかつ広く、早くより歴史家から注意せられた。特に「志野しの」や「織部おりべ」は好んで茶人間にもてあそばれた。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
美意識でできる作として、私は末期の「織部焼おりべやき」や「志野しの」を挙げよう。もともとそれは趣味において作られた器であって、故意から来る病根がはなはだ深い。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)