“ささ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
29.3%
23.8%
12.1%
5.5%
5.5%
些々4.6%
3.2%
小竹2.3%
2.1%
瑣々1.6%
1.4%
1.1%
1.1%
0.7%
0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
0.4%
指擧0.2%
佐々0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
射映0.2%
0.2%
嵯々0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
翌朝よくちょうセルゲイ、セルゲイチはここにて、熱心ねっしんに十字架じかむかって祈祷きとうささげ、自分等じぶんらさき院長いんちょうたりしひとわしたのであった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
一人は細いつえ言訳いいわけほどに身をもたせて、護謨ゴムびき靴の右の爪先つまさきを、たてに地に突いて、左足一本で細長いからだの中心をささえている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ささ間詰まづめ、お庭の者、などと称される隠密の役は、駿河台の甲賀組、四谷の伊賀組、牛込の根来ねごろ組、こう三ヵ所に組屋敷があった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この夜は別して身をきよめ、御燈みあかしの数をささげて、災難即滅、怨敵退散おんてきたいさんの祈願をめたりしが、翌日あくるひ点燈頃ひともしごろともなれば、又来にけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おゝ、あはれ、ささやかにつつましい寐姿は、藻脱もぬけの殻か、山に夢がさまよふなら、衝戻つきもどす鐘も聞えよ、と念じあやぶむ程こそありけれ。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大急ぎで十五円八十銭を送っていただきたいというような案配あんばいであった。そのつぎにおのれの近況のそれも些々ささたる茶飯事を告げる。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
近づく折があったら、たった一言「許す」とささやき度い衝動に駆られ乍らも、半十郎の常識と体面が必死とその奔出する熱情を押えるのでした。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
山ふところの日当りの小竹ささ原を通りかかり、そこに二坪近くの丸さに、小竹之葉ささがはが剥げ、赤土がき出ているのを見付けると、息子の岳神は指して笑いながらいった。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
続いて眼に触れたのは醜怪なる𤢖わろ三人の屍体で、一人いちにんは眼をつらぬかれた上に更に胸を貫かれ、一人は脳天を深くさされて、荒莚あらむしろの片端をつかんだまま仰反のけぞっていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
日常瑣々ささの事、猶且なほかつ味はひ来れば無限の趣味あり、無限の秘密あり、無限の教訓ありて、我等をして思はず忸怩ぢくぢとして無謀の行動を敢てせざらしむる者也。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「父母も花にもがもや草枕旅は行くともささごて行かむ」(巻二十・四三二五)も意嚮は似ているが、この方には類想のものが多い。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
……ことに相手が、うた沢の如きをたしなむタマだったら、たちまち、それからそれ口がほぐれて、雪のあしたの煙草の火、寒いにせめてお茶一ぷく、それが高じてささ一つ……
三の酉 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
庭の正面に大きな笠松の枝が低く垂下たれさがって、添杭そえぐいがしてあって、下の雪見灯籠ゆきみどうろうに被っています。松の根元には美しいささが一面にい茂っていました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
雪田はいつか又私達を狭い山脊やまのせに導いた、巨巌の上をのぼって間もなく岩を敷き詰めたささやかな平らに出る、そしてそこに見覚えのある一本の標木と
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
そしてその末端に花穂をささえ着け花穂は中天に翻っているのである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
近付くまゝにうちの様子を伺えば、寥然ひっそりとして人のありともおもわれず、是は不思議とやぶれ戸に耳をつけて聞けば竊々ひそひそささやくような音、いよいよあやしくなお耳をすませばすすなきする女の声なり。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
まぶたは優しい母親の指で静かになで下げられ口は長年仕えた女の手でささえられて居る。多くの女達は冷たい幼児の手を取って自分の頬にすりつけながら声をあげて泣いて居る。
悲しめる心 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
おくれ毛を、掛けたばかりで、櫛もきちんとささっていましたが、背負しょい上げの結び目が、まだなまなまと血のように片端さがって、踏みしめてすそかばった上前の片褄かたづまが、ずるずると地をいている。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
同宿の悪太郎ばらは、それを好事にして折々貞之進をせびる、せびられゝばすぐ首肯うなずいて、及ぶだけ用立てゝるのが例の如くなっていた、それから或男が附け込んで、或いやしい問題をささげた時
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
「実はどういうんだか、今夜の雪は一片ひとつでも身体からだへ当るたびに、毒虫にさされるような気がするんです。」
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「黙れ!」と弓の折の寄るを貫一は片手にささへて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
これより後、淡海の佐佐紀ささきやまの君がおや、名は韓帒からふくろ白さく、「淡海の久多綿くたわた蚊屋野かやのに、猪鹿ししさはにあり。その立てる足は、すすき原の如く、指擧ささげたるつのは、枯松からまつの如し」
ここにそのきささ 大御酒杯さかづきを取らして、立ち依り指擧ささげて、歌よみしたまひしく
「ああ、どうも済みませんでしたネ、佐々ささ君」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
というとささへ立って駆け出したんで、みんながぞろぞろとついて行くと、鍍金の奴は一足おくれで、そのあとへ、こけ勘。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
落草ぬすびとども道をささへて、行李にもつも残りなくうばはれしがうへに、人のかたるを聞けば、是より東の方は所々に新関しんせきゑて、旅客たびびと往来いききをだにゆるさざるよし。
ささげて、桃太郎二倍ふたつがけなる武勇の子をいのるべしと
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
きたる折ながら、八蔵は腰なる鍵を取りいだして、勝手の戸に外より鎖を下し、急ぎ門前に立出でて、滑川の方へ行く泰助の後より、跫音あしおとひそかに跟けけども、日は傾きて影も射映ささねば
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
従七位は、白痴ばかの毒気を避けるがごとく、しゃくを廻して、二つ三つ這奴しゃつの鼻のささを払いながら
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一丈余りの蒼黒あおぐろい岩が、真直まっすぐに池の底から突き出して、き水の折れ曲るかどに、嵯々ささと構える右側には、例の熊笹くまざさ断崖だんがいの上から水際みずぎわまで、一寸いっすん隙間すきまなく叢生そうせいしている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
土地の待合ではしつッこい年寄のお客へなら千代香さんでなくてはならぬようにいつも目星をさされていただけ、朋輩の評判ははなは宜敷よろしからず、第一がケチでしみったれで
夏すがた (新字新仮名) / 永井荷風(著)
上辷うわすべりのする赭色の岩屑を押し出した岩の狭間をい上って崖端に出ると、偃松の執念しつこからみついた破片岩の急傾斜がいらかの如く波を打って、真黒な岩の大棟をささえている。絶巓ぜってんはすぐ其処そこだ。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
大磐石と更に高い岩壁との間に大岩がささえられて、其下に好い平な砂地がある。居ながら瀑が見られるので其処を泊り場所とした。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
蛙がキリストのように世界のためにみずからをささげそれを認めて、そして蛙の死骸を蛇が食うのなら私は得心する。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
否、そればかりではなかつた、此処等あたりまでやつて来ても、一面に水底に生えた藻のためにささえられて、船頭は十分に艫や竿を使ふことが出来なかつた。
ある日の印旛沼 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
仏像は背延びをするようにしてのろりのろりと歩きだしたが、十足ばかり往ったところでしきいささえられたようにひっくり返って大きな音をさした。
太虚司法伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
(七) 子夏しか曰く、さかしきをとうと(尊)び、色をあなど(軽易)り、父母につかえてく其の力をつくし、君につかえて能く其の身をささげ、朋友と交わりものいいてまことあらば、未だ学ばずというといえど
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
可悔くやしい可悔い」跣足で飛出して来たお島にささえられながら、おゆうはあば悶踠もがいて叫んだ。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
終日ひねもす灰色に打曇りて、薄日をだにをしみてもらさざりし空はやうやく暮れんとして、弥増いやます寒さはけしからず人にせまれば、幾分のしのぎにもと家々の戸は例よりも早くさされて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)