ささ)” の例文
小さい崖になつてゐて丸胴の埋め石へ苔からしぼられた清水が垂れるささやかな音だ。そこは四尺とない下駄をぬぐところである。
名園の落水 (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
雪田はいつか又私達を狭い山脊やまのせに導いた、巨巌の上をのぼって間もなく岩を敷き詰めたささやかな平らに出る、そしてそこに見覚えのある一本の標木と
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
ほんの僅かばかりの、つつましい祈願をかける人人の神神は、同じやうにつつましく、小さなささやかなほこらで出來てる。
宿命 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
いまうわさに上った二階の二番の前をなにげなく通って前後を見廻してから、そーっと障子の傍へ立寄ると、持っていた太い針のようなものをめてささやかな穴を障子の隅へあけて
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)