名園の落水めいえんのらくすい
曇つた十月の或る日。 いつか見て置きたいと思つてゐた前田の家老であつた本多さんの庭を見に行つた。誰かに紹介をして貰ふつもりだつたが、それよりも直接にお庭拝見といふふうに名刺を通じた。五万石を禄してゐた本多家はいまは男爵である。幸ひ取次ぎが出 …