小竹ささ)” の例文
吾が宿の春深からず、梅しろく、小竹ささの葉黄なり。霧雨のふればかすかに、鶯の啼けばをさなし。ああ、友よ、一日は過ぐせ、この山のしづけさを。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
山ふところの日当りの小竹ささ原を通りかかり、そこに二坪近くの丸さに、小竹之葉ささがはが剥げ、赤土がき出ているのを見付けると、息子の岳神は指して笑いながらいった。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
小竹ささはみやまもさやにみだれどもわれいもおもふわかぬれば 〔巻二・一三三〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
眞拆まさきかずらかずらとして、天のカグ山の小竹ささの葉をたばねて手に持ち、天照らす大神のお隱れになつた岩戸の前におけせて踏み鳴らし神懸かみがかりして裳の紐をほとに垂らしましたので、天の世界が鳴りひびいて
鳥の巣やそこらあたりの小竹ささの風
不器男句集:02 不器男句集 (新字旧仮名) / 芝不器男(著)
をちこちの小竹ささのむら笹、柿もみぢ、梅がの蔦、とりどりに色に出づれど、神無月すゑの時雨に濡れ濡れて、その葉枯れず、落葉せず、透かず、薄れず
観相の秋 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
小竹ささのさやぐ霜夜しもよ七重ななへころもにませるろがはだはも 〔巻二十・四四三一〕 防人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
春鳥のに揺る声の、ゆく水のかがよふ音の、朝風の松のひびき、夕風の小竹ささのさゆれの、おのづから我よあはれと、あはれにもれて、しらべて、あるべきものを。
(新字旧仮名) / 北原白秋(著)
春鳥のに揺る声の、ゆく水のかがよふ音の、朝風の松のひびき、夕風の小竹ささのさゆれの、おのづから我よあはれと、あはれにもれて、しらべて、あるべきものを。
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
見のすがし雨のらひやひた揺れにしぶく小竹ささより蟹ころび落つ (五三頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夕しぐれ間なくふりつぐ小竹ささに雀は久しすくみゐにけり (訂正、拾遺)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
短日みじかびの光つめたき小竹ささの葉に雨さゐさゐと降りて来にけり (二〇八頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
をちこちの小竹ささのむら笹、柿もみぢ、梅がの蔦、とりどりに色に出づれど、神無月すゑの時雨に濡れ濡れてその葉枯れず、落葉せず、透かず、薄れず、ただうはべわづかあかみて天鵞絨びろうどの焦茶いろすれ
かくばかり小竹ささ多き磯と知らざりき通り抜けて薄き陽ざしに見れば
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雨しづく見のすずしさや庭の小竹ささの揺るるさきより蟹ころび落つ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この磯は枯小竹ささ多し行くところ吹かれ吹かれぬ小竹あらぬなき
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
この月を小竹ささ葉叢はむらに影さして飛びちらふ見れば雪はおもしろ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
この月を小竹ささ葉叢はむらに影さして飛びちらふ見れば雪はおもしろ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
涼しさははてなかるらし眞木山や隣る月夜の小竹ささの葉にして
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
涼しさははてなかるらし真木山や隣る月夜の小竹ささの葉にして
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
日おもての小竹ささの靡きは明るけどしきりに涼し秋は来にけり
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)