トップ
>
小
>
ささ
ふりがな文庫
“
小
(
ささ
)” の例文
私の死ぬまでに、それがどこかの
紫雲英
(
れんげ
)
の原に、
小
(
ささ
)
やかな一宇の愛の御堂となれば、私は、その原の白骨となって御守護いたします。
雲霧閻魔帳
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おゝ、あはれ、
小
(
ささ
)
やかに
慎
(
つつ
)
ましい寐姿は、
藻脱
(
もぬけ
)
の殻か、山に夢がさまよふなら、
衝戻
(
つきもど
)
す鐘も聞えよ、と念じ
危
(
あや
)
ぶむ程こそありけれ。
処方秘箋
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「星のきらめきは今までよりも弱まって、まるで月におびえでもしたように、その
小
(
ささ
)
やかな光線を引っ込めてしまった。」(『奥様』第一章。一八八二年)
チェーホフの短篇に就いて
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
鬼の国から吹き上げる風が石の壁の
破
(
わ
)
れ
目
(
め
)
を通って
小
(
ささ
)
やかなカンテラを
煽
(
あお
)
るからたださえ暗い
室
(
へや
)
の天井も
四隅
(
よすみ
)
も
煤色
(
すすいろ
)
の
油煙
(
ゆえん
)
で
渦巻
(
うずま
)
いて動いているように見える。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こよひ
五三
不思議にもここに一夜をかりたてまつる事、
五四
一世ならぬ
善縁
(
ぜんえん
)
なり。
你
(
なんぢ
)
弱
(
わか
)
きとて
努
(
ゆめ
)
々
信心
(
しんじん
)
おこたるべからずと、
五五
小
(
ささ
)
やかにかたるも
清
(
す
)
みて心ぼそし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
▼ もっと見る
寧ろそは一輪二輪の少きを
小
(
ささ
)
やかな粗瓶に投げざしせるに吾儕は趣あるをおもうものであるのだ。
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
やがて
小
(
ささ
)
やかなる
革提
(
かばん
)
携へ来りしを、奥様は力なき手にそれを開き、中より幾片かの
紙幣
(
さつ
)
とり出でて老女に渡したまひしかば、老女は万事その意を得て、これを子供の肌へ
磯馴松
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
渓流は細いが、水は清冽で、その辺は巨大な岩石が
重畳
(
ちょうじょう
)
しており、
樟
(
くす
)
に
雑
(
まじ
)
って
大榎
(
おおえのき
)
の茂っている薄暗い広場があって、そこにお
誂
(
あつら
)
え通り
小
(
ささ
)
やかな
狐格子
(
きつねごうし
)
のついた
山神
(
さんしん
)
の
祠
(
ほこら
)
がある。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
梧桐
(
あおぎり
)
の影深く四方竹の色ゆかしく茂れるところなど
縈
(
めぐ
)
り
繞
(
めぐ
)
り過ぎて、
小
(
ささ
)
やかなる折戸を入れば、花もこれというはなき小庭のただものさびて、
有楽形
(
うらくがた
)
の
燈籠
(
とうろう
)
に松の落葉の散りかかり
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
その杉の木立の中に、山神の
祠
(
ほこら
)
といったような
小
(
ささ
)
やかな社のあるのを指して
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小
(
ささ
)
やかな庭園であっても、私などとちがった芸術心境をそこに観たような感じで、座に就いてからも、いろ/\に氏の作品について空想を恣にして、私自身の作品との相違を考えたのであった。
弔辞(室生犀星)
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
町立病院
(
ちょうりつびょういん
)
の
庭
(
にわ
)
の
内
(
うち
)
、
牛蒡
(
ごぼう
)
、
蕁草
(
いらぐさ
)
、
野麻
(
のあさ
)
などの
簇
(
むらが
)
り
茂
(
しげ
)
ってる
辺
(
あたり
)
に、
小
(
ささ
)
やかなる
別室
(
べっしつ
)
の一
棟
(
むね
)
がある。
屋根
(
やね
)
のブリキ
板
(
いた
)
は
錆
(
さ
)
びて、
烟突
(
えんとつ
)
は
半
(
なかば
)
破
(
こわ
)
れ、
玄関
(
げんかん
)
の
階段
(
かいだん
)
は
紛堊
(
しっくい
)
が
剥
(
は
)
がれて、
朽
(
く
)
ちて、
雑草
(
ざっそう
)
さえのびのびと。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
小
(
ささ
)
やかな塔を立てては
毀
(
こは
)
す也
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
いと
小
(
ささ
)
やかにつつましき
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
小
(
ささ
)
やかに
蛇苺
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
そして、裏門の方へと二十歩ほど、杉木立の中を行くと、
小
(
ささ
)
やかな
篠垣
(
しのがき
)
に囲まれた草庵があって、朝顔の花が、そこらに、二、三輪濃く咲いていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かくて
閨房
(
ねや
)
を
免
(
のが
)
れ出でて、庄司にむかひ、かうかうの恐ろしき事あなり。これいかにして
放
(
さ
)
けなん。よく
計
(
はか
)
り給へと
三二七
いふも、
背
(
うしろ
)
にや聞くらんと、声を
小
(
ささ
)
やかにしてかたる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
麹町の八丁目というに
小
(
ささ
)
やかな三階づくりが出来て、階下には理髪店が開かれたが、その三階にチラと見える爺さんの相変らずの姿、ようこそあれござんなれとばかり、訪れて見ると
残されたる江戸
(新字新仮名)
/
柴田流星
(著)
と。
小
(
ささ
)
やかなる、箱取出して手に渡すを。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
あのせつは、ご心配をおかけいたしましたが、今では、
小
(
ささ
)
やかですが、
穀商人
(
こくあきゅうど
)
の
内儀
(
ないぎ
)
になり、子どもまでもうけて、親どもと一緒に暮らしております。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、やがて、
小
(
ささ
)
やかな膳を
調
(
ととの
)
えて、これが一生の別れとなるかも知れぬ。月を
肴
(
さかな
)
に、
一献
(
いっこん
)
酌
(
く
)
もうと、
打
(
う
)
ち
寛
(
くつろ
)
いだ。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、今の栄位を、むしろ
厭
(
いと
)
う気さえこの頃は起った。
徒
(
いたずら
)
に、
清洲
(
きよす
)
時代の
小
(
ささ
)
やかな二人暮しの時ばかり振返られて、良人の内助に、ふと、心のゆるむ日もあった。
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足軽三十人持の
小頭
(
こがしら
)
といっては、まだその足軽よりすこし
足
(
た
)
しなくらいの生活でしかない。
清洲
(
きよす
)
の
侍小路
(
さむらいこうじ
)
の裏に、若い夫婦は、初めて
小
(
ささ
)
やかな家と鍋釜を持った。
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
綽空は、同房の混雑に、その年のすえ、岡崎に
小
(
ささ
)
やかな草庵を見つけて、そこへ身を移すことにした。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「正成公の命日は、五月二十五日だが、
忌日
(
きじつ
)
にこだわる必要はあるまい。正月の五日、
小
(
ささ
)
やかな祭でも
執
(
と
)
り行って、関係者一同に集まってもらおうと考えておるが……」
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
晩になると、薄暗い魚燈の
下
(
もと
)
で、
父娘
(
おやこ
)
は酒の支度をしてくれた。
小
(
ささ
)
やかな
宴
(
えん
)
ではあるが別れの名残だった。権十が酒の相手をし、お松は、洗濯した
袴
(
はかま
)
の
綻
(
ほころ
)
びを縫っていた。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白銀屋
(
しろがねや
)
(金銀細工師)新七と申しまして、
小
(
ささ
)
やかな家を構えておりまするので、そこへお身を隠すなり、また何なりと仰せつけ下さいますれば、身を粉にくだいても、きっと
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その路傍の、
小
(
ささ
)
やかな一軒——土民の家の前に、小侍二人は、ひざまずいて云った。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さらば——と、その夜は彼女の身支度と、
小
(
ささ
)
やかな別れの宴に送って翌る日の朝。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
箸の先に
水洟
(
みずばな
)
がたれるのも思わなかった。浅ましいというなかれ。無上大歓喜即
菩提
(
ぼだい
)
。人間とは、こんな
小
(
ささ
)
やかな瞬間の物にもまったく満足しきるものだった。痛い、
痒
(
かゆ
)
いも覚えない。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
竹之辻の浪宅では、一夜、
極
(
ご
)
く内輪のものだけで、
小
(
ささ
)
やかな別宴がひらかれた。
日本名婦伝:小野寺十内の妻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小
(
ささ
)
やかな食器家財などを持ち、老いたるを負い、病人を励まし、乳のみ児を抱き、足弱を曳きつれ、火の家を出て、剣槍の下を
奔
(
はし
)
る髪おどろな人影が——武者たちの眼を幾度かよぎった。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
隠居された柳生
新左衛門尉宗厳
(
しんざえもんのじょうむねよし
)
が、名も石舟斎と簡素に改めてしまって、城からすこし奥の
小
(
ささ
)
やかな山荘にかくれ、政務を
執
(
と
)
る表のほうには、誰が今、家督の任に当っているのか分らないが
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どこに、
小
(
ささ
)
やかな世帯をもったのか。どこを、
流転
(
るてん
)
の宿としているのか。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小人数の家族ながら、また、
小
(
ささ
)
やかな一戸の
主
(
あるじ
)
だが、その瞬間は厳粛であった。一城の主の
凱旋
(
がいせん
)
も気もちの上では同じものだった。
寧子
(
ねね
)
の
態
(
てい
)
に
倣
(
なら
)
って、みな膝まで手をさげて、心から頭を下げた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかもいと
小
(
ささ
)
やかな物とよぶにも足らないほど貧しい物質でしかない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と——その辺の油や荒物を売っている
小
(
ささ
)
やかな店先で
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“小”の意味
《名詞》
(ショウ)ちいさいこと。
(出典:Wiktionary)
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
“小”を含む語句
小便
小女
小刀
小屋
小僧
小路
小児
小舟
小童
小人
小竹
矮小
小兒
小娘
小角
小波
小野
小説
小婢
小字
...