“慎”のいろいろな読み方と例文
旧字:
読み方割合
つつし54.7%
つつ23.3%
つゝし5.8%
つつま5.2%
つゝ2.3%
つつしみ1.7%
つつまし1.7%
たしな1.2%
ツツシ1.2%
いま0.6%
しん0.6%
つつしむ0.6%
つゝま0.6%
ツヽシ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その足もとのあぶないことを自覚して、そうして、多少の冒険をもつつしもうとするところに、道庵の聡明さがあるといえばあるのです。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
おゝ、あはれ、ささやかにつつましい寐姿は、藻脱もぬけの殻か、山に夢がさまよふなら、衝戻つきもどす鐘も聞えよ、と念じあやぶむ程こそありけれ。
処方秘箋 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そんならくが好い。丁度ステーションのそばに何軒か普請中ふしんちゆううちも有るから、煉瓦でも運んで居りや、かつゑもしまい。たゞ酒だけはつゝしむんだぞ。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
つつましく生きてゐるんだ。格別過去や未来を思ふことはしないで、一を一倍しても一が出るやうな現在の中に、慎しく生きてゐるのだ。
散歩生活 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
これからは大いにつゝしむといふことだから(大庭が何かいはうとするのを制して)こゝでひとつ、万事一切を水に流してだね、お互ひに新しい気持で
五月晴れ (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
五に癩病などの悪きやまいあれば去る。六に多言くちまめにてつつしみなく物いひ過すは、親類とも中悪く成り家乱るゝ物なれば去べし。七には物を盗心ぬすむこころ有るを去る。此七去は皆聖人の教也。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
楚々そそとしてつつましやかに花を付けるあの可憐かれん雛罌粟ひなげしの花のような女性が、夫人の手近にいることを、人々は忘れはしまい。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「冗談じゃアない。近所の人がじろじろ見ているじゃアないか、見っともないから止して呉れ」と私はたしなめたが、柏は耳にも入れず
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
近来、巨虎キョコ、峠ニ現ワレ、頻々ヒンピントシテ人命ニ害ヲナス。官民、捕殺ニ力ヲアワストイエドモ、虎爪コソウ血ニ飽カズ、惨害日ニ増スノミナリ。単身ノ旅ハツツシミ、近辺ノ民モソレ心セヨ
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは雀のようにすくみ上っても見えたし、また別な、厳粛な、荒荒しい外部をいましめている小さな怒りに燃えているようにも思えた。
或る少女の死まで (新字新仮名) / 室生犀星(著)
しんちゃんの所はどうおしだえ? お父さんは知らせた方がいとか云ってお出でだったけれど。」
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
我為せる事に能事よきことあるとても誇る心なく、亦悪事ありて人にいはるゝ迚も争はずして早く過を改め、重て人に謂れざる様に我身を慎み、又人に侮れても腹立憤ることなく、能くこらえて物をおそれつつしむべし。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
古い文明国だけにすべてが寂びて居る。市街も人間も何だか疲れて居て活気に乏しい。男は皆水夫上りの様な田舎ゐなかびた印象を与へるし、女は皆尼さんの様なつゝましやかさと寂しさとを持つて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
凡隊中患難クハンナン相救アヒスクヒ 困厄コンヤク相護アヒマモリ 義気ギキセメ 条理ヂヤウリ相糺アヒタダシ 若クハ独断ドクダン果激クハゲキ 儕輩サイハイサマタゲヲ成シ 若クハ儕輩サイハイ相推アヒオシ ジヨウジイキホヒニテ他人ノサマタゲヲ為ス 是モツトモツヽシム 可キ所 アヘテ アルヒハオカス勿レ
海援隊約規 (新字旧仮名) / 坂本竜馬(著)