つつまし)” の例文
旧字:
楚々そそとしてつつましやかに花を付けるあの可憐かれん雛罌粟ひなげしの花のような女性が、夫人の手近にいることを、人々は忘れはしまい。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
この一事のほかは人目をくべき点も無く、彼は多く語らず、又はさわがず、始終つつましくしてゐたり。終までこの両個ふたり同伴つれなりとは露顕せざりき。さあらんには余所々々よそよそしさに過ぎたればなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
機会おりに依っては、何処かつんと思い揚って、取澄ましているかと思えば、またひどつつましやかで、愛想もそう悪くはなかったが、今夜は余程思い余ったことがあるらしく、心が悩めば悩むほど
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)