歳晩の寂しい午後であった。私は、青い焔をあげて勢よく燃えさかっている暖炉の前へ、椅子を寄せて、うつらうつら煙草を燻らしていた。私の身のまわりは孰れも見馴れたもの計りで、トランクは寝台の下に投込んであり、帽子掛には二つの帽子と数本のステッキが …
著者 | 松本泰 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「探偵文藝 第二巻第一、二、四号」奎運社、1926(大正15)年1、2、4月 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約1時間1分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約1時間41分(300文字/分) |