“経緯”のいろいろな読み方と例文
旧字:經緯
読み方割合
いきさつ83.2%
けいい2.9%
たてぬき2.9%
たてよこ2.9%
すじみち1.5%
ゆくたて1.5%
よこたて1.5%
わけ1.5%
ことわけ0.7%
ゆきたて0.7%
ユキタテ0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その跡形あとかたが残っているのか、両方の氏神様うじがみさまに特別厳重な工作が認められる。扉に大きな錠前が七つかけてある。これにも経緯いきさつがある。
ある温泉の由来 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
もちろん当事者の名まえなど決して書かずただ一種変った自分の心理を叙述する材料としてかなり経緯けいいをはっきり書いた。
鶴は病みき (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
放蕩ほうとう懶惰らんだとを経緯たてぬきの糸にして織上おりあがったおぼッちゃま方が、不負魂まけじだましいねたそねみからおむずかり遊ばすけれども、文三はそれ等の事には頓着とんじゃくせず
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
色にも中間のものにハシタ色というのがあって、和訓栞に、「指貫さしぬきに言へり、胡曹抄に、経緯たてよことも薄紫と見えたり」と解している。
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
柏は話の経緯すじみち了解のみこめないので、不思議そうに吾々三人の顔を見較べていた。運転手は掴みかかるような権幕で、私の前へ躍出した。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
しかし、そこに語られてゐる経緯ゆくたては、あくまで事実に即してをります。……でない限り、成立たない作なのでありますから……
一葉の日記 (新字旧仮名) / 久保田万太郎(著)
半分は花野はなののごとく明らかである。そうして三四郎の頭のなかではこの両方が渾然こんぜんとして調和されている。のみならず、自分もいつのまにか、しぜんとこの経緯よこたてのなかに織りこまれている。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いや、偶然行き合うのさ。奴、吃驚するだろうが、黙っちゃいられまい。納得の行くように弁明してくれゝばこの上なしだが、経緯わけがあるにしても匿せない。赤裸々に来るよ」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ほう。それは初めて聞いたが、それよりも五、六日前のこと。襟半の半三郎にアンタが話しよった経緯ことわけなあ」
姫の心は、こだまの如くさとくなって居た。此才伎てわざ経緯ゆきたては、すぐ呑み込まれた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
姫の心は、こだまの如くサトくなつて居た。此才伎テワザ経緯ユキタテは、すぐ呑み込まれた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)