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経緯
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いきさつ
ふりがな文庫
“
経緯
(
いきさつ
)” の例文
旧字:
經緯
その
跡形
(
あとかた
)
が残っているのか、両方の
氏神様
(
うじがみさま
)
に特別厳重な工作が認められる。扉に大きな錠前が七つかけてある。これにも
経緯
(
いきさつ
)
がある。
ある温泉の由来
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「いや、かえっていろいろの事が解ったような気がするよ。三千両の始末を、もう少し詳しく聞きたいが——一体どんな
経緯
(
いきさつ
)
なんだ」
銭形平次捕物控:065 結納の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「なるほど。……それで、定太郎と里春はいったいどんな
経緯
(
いきさつ
)
になっているんです。何か入組んだことでもあるのじゃありませんか」
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「何とおっしゃっても、私どもの気持は、もうきまっています。しかし、これまでの
経緯
(
いきさつ
)
は一応、奥さんに申し上げて置きます」
ヴィヨンの妻
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
その
経緯
(
いきさつ
)
を彼はぽつりぽつり、確めるように説明した。矢木は適当に
相槌
(
あいづち
)
を打ちながら聞いていた。話し終ると矢木は質問した。
記憶
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
▼ もっと見る
その後、耕介の家とは、いよいよ
経緯
(
いきさつ
)
がまずくなったので、岩間角兵衛から催促してもらうと、今朝、耕介から送り届けて来たのである。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は、此頃やうやく新進作家として文壇の片隅に出てゐる私の、彼女と私との
経緯
(
いきさつ
)
を仕組んだ小説も或は必定読んでをるにきまつてゐる。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
私が植物の分類の分野に立って断えず植物種類の研究に没頭してそれから離れないのは、こうした
経緯
(
いきさつ
)
から来たものです。
牧野富太郎自叙伝:02 第二部 混混録
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
「同じ吉田一家の中でも、いろいろと、また、派があるんじゃよ。友田喜造と花田準造——きっと、なんか、こみいった
経緯
(
いきさつ
)
があるにちがわん」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
七人の
浪藉者
(
ろうぜきもの
)
を手玉に取った
経緯
(
いきさつ
)
を、「見せたかったな、」を間へ入れては、張り扇の先生そのままに、眼を丸くしている子供へ話して聞かせた。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
雪之丞は、行く道で、孤軒老師に
邂逅
(
かいこう
)
した一条や、脇田道場での門倉平馬との
経緯
(
いきさつ
)
や、匿すべき相手でないので、一切を告げ知らせるのであった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「いや、私達はどうしても現金を持って帰りたい」そんな
経緯
(
いきさつ
)
があって住友の当事者には彼等のつきつめた心情を理解する心がなかったのであろう。
金山揷話
(新字新仮名)
/
大鹿卓
(著)
彼女は、勝平との感情の
経緯
(
いきさつ
)
を、もうスッカリ忘れてしまったように、ほんとうの娘にでも、なりきったように、勝平に甘えるように
纏
(
まつ
)
わっていた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
そこへお姫様が出なかろうものなら、相手を専有した
経緯
(
いきさつ
)
を、いずれ殿にはこの私へお話しなさるでございましょう。聞き手にとってはいい迷惑で。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
これらの
経緯
(
いきさつ
)
は、別項「青屋考」中に詳説して、ここに略するが、要するに、彼らは、単に職業上の誤解から、その仲間にされたものとの事を疑わぬ。
エタ源流考
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
剣橋
(
ケンブリッジ
)
大学の教授アンドリウス・ケネディ博士が、この
辺陬
(
へんすう
)
ボカス・デルトーロの村へ招ばれてやって来たというのは、実にこういう
経緯
(
いきさつ
)
からであった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
だから当時の人が、それらの
経緯
(
いきさつ
)
を知らぬ筈はないから、右衛門が右衛門となるまでには、随分苦労をしたことだろうと十二分に同情されるのである。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
けれども女の方でも後には、そんな考えでのみこちらの扶助を甘んじて受けていなかったことは、長い間の
経緯
(
いきさつ
)
で
否応
(
いやおう
)
なしに承知しているはずであった。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
過ぎ去った一年ほどの間に眼に見えて縺れ出した葛岡とわたくしと先生の間の
経緯
(
いきさつ
)
が、まるで流行り
廃
(
すた
)
ったフヰルムの截片のように値打なく観られます。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
そうでなければ、今までの
経緯
(
いきさつ
)
をよく知っていて、こんなところへ事壊しに飛び出すはずはないのだが、どうしたものか、せっかく納まった空気の中へ
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それだから、犯人が夫人の幻覚を予期し得る条件としては、当然その間の
経緯
(
いきさつ
)
を熟知していなければならない。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
三角関係にどんな
経緯
(
いきさつ
)
があったか知らないが、兎に角、笠神博士が恋の勝利者となり、毛沼博士が惨敗者となって、遂に一生を独身に送ることになったのだ。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
三度行ったら四度、五度、六度と度重なるだろう。どこからそんなことをする金が出てくるか。そのうちにすべての
経緯
(
いきさつ
)
が人に知れわたったらいったいどうする。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
だが、正三には長兄と
嫂
(
あによめ
)
とのこの頃の
経緯
(
いきさつ
)
は、どうもはっきり筋道が立たなかったし、それに、順一はこのことについては必要以外のことは決して喋らないのであった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
彼は、事件の最初から見張り番に当って、一向犯行の経路も、捜査の
経緯
(
いきさつ
)
も知らないのであった。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
前の時代の自然主義の婦人作家が示さなかった女の自我の問題を恋愛の
経緯
(
いきさつ
)
の中に芸術化した。
問に答えて
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
初めから不幸であった結婚生活の破滅に陥った事情や、実家からさえも見放されるようになった
経緯
(
いきさつ
)
、それに最近の草葉との結婚の失敗などについて、哀訴的に話しながら
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
他人に事件の
経緯
(
いきさつ
)
を話してきかせるくらい自分の考えをはっきりさせ得ることはないのだし、それに事件をよく知ってもらって、どこから手をつけるべきかを話しておかないと
白銀の失踪
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
細かく探ったら事件の
経緯
(
いきさつ
)
がもっとハッキリなりはしまいかと期待して来たのであった。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その時、プラスビイユはニイスのオペラの女優を愛しておりましたが、メルジイとドーブレクとは
私
(
わたくし
)
に
思
(
おもい
)
をかけていました。その間に色々な
経緯
(
いきさつ
)
がございますが、簡単に申上げましょう。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
ついうかうかとこの妙な小屋について来た
経緯
(
いきさつ
)
に少しずつ後悔を覚えて来た。
植物人間
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
彼は黙つて、其癖超然としてではなく、事の
経緯
(
いきさつ
)
をぢつと聴いてゐた。それが私には気味が悪いと共に、やゝ頼もしくも感ぜられた。がいづれにもせよ彼が、私の味方でない事は解つてゐた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
それに
就
(
つ
)
きての
経緯
(
いきさつ
)
は
何
(
いず
)
れ
改
(
あらた
)
めてこの
次
(
つ
)
ぎに
申上
(
もうしあ
)
げることに
致
(
いた
)
しましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
上級生との間に今云ったような
経緯
(
いきさつ
)
が前からあったので、それで彼も、その時、素直にあやまれなかったのであろう。其の夕方、天幕が張られてからも、彼はなお不安な
落著
(
おちつ
)
かない面持をしていた。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その
経緯
(
いきさつ
)
については、
間
(
ま
)
もなく読者の探知するところとなろう。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「二人の素姓が判ると、浅野様御留守居に願って、十二年前の
経緯
(
いきさつ
)
が手に取るごとく判ってしまった。話して聴かせようか、お秀」
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「……ほう、藤波がそんな早いことをやったか。……それにしても、そんな子供までひきあげたのは、どういう
経緯
(
いきさつ
)
のあることなんだ」
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
僕は大谷君との関係を発見した直後、
経緯
(
いきさつ
)
を報告して、次の日曜に大谷君のところへ遊びに行くことになったと言ったのである。
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
金吾のこと、お粂の恋、道中師伊兵衛と馬春堂の関係など、すべての
経緯
(
いきさつ
)
はここで釘勘の口から万太郎の胸へ
手短
(
てみじか
)
に移される。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
酔っているせいもあるが、税務事務所などに勤めると、そんな事情や
経緯
(
いきさつ
)
に通じて来るものらしい。一月三日の宴会は、何となくそんな具合で終了した。
狂い凧
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
再び長文の書翰となりましたが、これで御身にもすべての
経緯
(
いきさつ
)
が充分御諒解になられましたことと思います。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
にべもなく自分から過去へ振り捨て去った幼ない日の幸福がひし/\と心に
惜
(
おし
)
まれ、そうしてまた、現在、関り合って抜きさしなり難くなりつゝある妙な
経緯
(
いきさつ
)
に
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
妹もあまり元気ではなかったが、とにかく見舞に行くことにして出掛けた。そして、翌日広島から帰って来た妹は、電車の中で意外にも西田と
出逢
(
であ
)
った
経緯
(
いきさつ
)
を私に語った。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
辰之助もその
経緯
(
いきさつ
)
はよく知っていた。今年の六月、二十日ばかり道太の家に遊んでいた彼は、一つはその問題の解決に上京したのであったが、道太は応じないことにしていた。
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それも其筈で、いろいろの
経緯
(
いきさつ
)
があった蒲生忠三郎を面前に
扣
(
ひか
)
えているのであるから。又蒲生忠三郎氏郷も、何をと云わぬばかりの様子でスイと澄まして居る。これも其筈だ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
むろんその時はタッタ今の
経緯
(
いきさつ
)
も何も忘れて、僅かの時間、親方の頭の上で辛抱する気になっていたもんだが、その
中
(
うち
)
に例の通り、禿頭の上で逆立ちをしてみると……妙だったね。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こうした
経緯
(
いきさつ
)
が、言葉を待つまでもなく、七人の
復辟
(
ふくへき
)
派には次々と
泛
(
うか
)
んでいった。まるで、ウルリーケの一言が
礫
(
つぶて
)
のように、追憶の、巻き拡がる波紋のようなものがあったのである。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
傾城買
(
けいせいかい
)
の
経緯
(
いきさつ
)
なれば、どんなに微妙にでも、演じ得ると云う自信を持った藤十郎も、人妻との
呪
(
のろ
)
われた悪魔的な、道ならぬ
然
(
しか
)
し懸命な必死の恋を、舞台の上にどう
演活
(
しいか
)
してよいかは
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
皆が一度に弥吉に首の
経緯
(
いきさつ
)
を話す声、それを背中に聞いて、藤吉、往来へ出た。
釘抜藤吉捕物覚書:09 怨霊首人形
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
対手が妙に
生齧
(
なまかじ
)
りの法律口調で話しかけるのを、こちらは、わざと
捌
(
さば
)
けた
伝法
(
でんぽう
)
な口の
利
(
き
)
きようになって、四、五年前からの女との
経緯
(
いきさつ
)
を、その男には、口を
揷
(
さ
)
し入れる隙もないくらいに
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
“経緯”の意味
《名詞》
経 緯 (けいい、いきさつ、たてぬき、たてよこ)
(けいい、たてぬき、たてよこ)経糸と緯糸(機織の用語に由来)
(けいい)地球の経度と緯度。
(けいい、いきさつ)物事の細かないきさつ・事情。
(出典:Wiktionary)
経
常用漢字
小5
部首:⽷
11画
緯
常用漢字
中学
部首:⽷
16画
“経緯”で始まる語句
経緯儀
経緯機
経緯計