“過去”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
すぎさ29.9%
かこ23.9%
くわこ20.9%
こしかた10.4%
むかし4.5%
うしろ3.0%
すぎさり1.5%
これまで1.5%
すぎこ1.5%
すぎさっ1.5%
スギニ1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
やまおきならんでうかこれも無用なる御台場おだいば相俟あひまつて、いかにも過去すぎさつた時代の遺物らしく放棄された悲しいおもむきを示してゐる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
なんだか、このふえいていると、わすれてしまった過去かこのことが、一つ、一つこころそこかびがってえるようながする。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
彼女かのぢよは、片山かたやま一人ひとりためには、過去くわこの一さいてた。肉親にくしんともたなければならなかつた。もつとも、母親はゝおや實母じつぼではなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
我はアルナルドなり、泣きまた歌ひてゆく、われ過去こしかたをみてわがおろかなりしを悲しみ、行末ゆくすゑをみてわが望む日の來るを喜ぶ 一四二—一四四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
デュアック 「地上の美しさはすでにうたいふるされた古歌のように過去むかしの物となった」と唄うております。
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
相川や、乙骨や、高瀬や、それから永田なぞと、よく往ったり来たりした時代は、最早遠く過去うしろになったような気がする。間も無く四人はこの茶店を出た。
並木 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
まもる事ふくべの如くと又口はわざはひのかどしたは禍ひのと言る事金言きんげんなるかな瀬戸物屋忠兵衞はからず八ヶ年過去すぎさりたる事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
身体は自家にいながら、魂魄こころは宙に迷うていた。お宮を遊びに来さす為には家を変りたいと思ったが、お前のこと、過去これまでのことを思えば、無惨むざと、此処を余処わきへ行く事も出来ない。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
多恨なる美女よ、涙なしに自身の過去すぎこしかたをかえりみ、語られるであろうか。わたしはあまりに遠くから聴き、また見た記憶のまぼろしばかりを記しすぎた。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
何日に戦争があるなどと云う評判、その二十日の期間もすで過去すぎさって、又十日と云うことになって、始終しじゅう十日と二十日の期限をもって次第々々に返辞へんじのばして行く。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
過去スギニし方の西の国からおむがしきヒムガシの土への運動は、歴史に現れたよりも、更に多くの下積みに埋れた事実があるのである。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)