過去かこ)” の例文
なんだか、このふえいていると、わすれてしまった過去かこのことが、一つ、一つこころそこかびがってえるようながする。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
で、わたくしは一しょう懸命けんめいふか統一とういつはいり、過去かこの一さい羈絆きずなることによりて、一そう自由自在じゆうじざい神通力じんつうりきめぐまれるよう、こころから神様かみさま祈願きがんしました。
あらゆる醜状しゅうじょう世間せけんにさらしたきがいなき不幸ふこうな母と思いつめると、ありし世の狂母きょうぼ惨状さんじょうやわが過去かこ悲痛ひつうやが、いちいち記憶きおくからび起こされるのである。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その土地とちにゐついてゐるのですから、なによりもその地方ちほう過去かこおもおこさせ、地方歴史上ちほうれきしじよう參考さんこうともなり、愛郷心あいきようしんをもやしなひ、ひいては愛國心あいこくしんはぐくむことにもなります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
『いやもう過去かこわすれましょう。』と、ミハイル、アウエリヤヌイチはかたかれにぎってうた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
繪畫かいがその一切いつさい品物しなもの、これを私共わたしども遺物いぶつといつてをりますが、その遺物いぶつによつて人間にんげん過去かこ時代じだい生活せいかつ模樣もようだとか、文化ぶんか状態じようたいだとかを研究けんきゆうする學問がくもんであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
ほまれ」はつばさ音高おとだか埋火うづみびの「過去かこあふぎぬれば
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
それに、いいにおいがするので、竹夫たけおは、ふたをはなにあてて、どんなひとが、この香炉こうろっていたかと、はるかな過去かこ想像そうぞうしたのでした。
ひすいの玉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
過去かこのことをおもすものは、両眼りょうがんくじってしまいましょう。リュバフキン!』と、かれ大声おおごえたれかをぶ。郵便局ゆうびんきょく役員やくいんも、来合きあわしていた人々ひとびとも、一せい吃驚びっくりする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかもその当時とうじ光景こうけいまでがそっくりそのまま形態かたちつくってありありとまえうかてまいります。つまりわたくしどもの境涯きょうがいにはほとんど過去かこ現在げんざい未来みらい差別さべつはないのでございまして。
しかし、こうなっては、過去かこのことをかんがえるのもむだなことでした。そして、すこしもにゆるみをもつことができません。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おれようのあるのがえんのか。いや過去かこおもしますまい。』とかれ調子ちょうしを一だんやさしくしてアンドレイ、エヒミチにむかってう。『さあきみたまえ、さあどうか。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
雪割草ゆきわりそうは、ちいさなあたまなかで、過去かこかんがえずにはいられませんでした。このゆきる、かぜはげしい、岩蔭いわかげいたのことが、ぼんやりとかびました。
みつばちのきた日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくは、またきみこそ、過去かこ苦痛くつう連続れんぞくであって、こうしてのんきにしていられるのが、どんなにきみにとって幸福しあわせのことかしれないとおもったが、やはり
春さきの古物店 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おじいさんは、天使てんしはなしいているうちに、とお過去かこの、青春せいしゅん時代じだいに、自分じぶんたましいかえったようにかんじました。
いいおじいさんの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとき、ちょうど、過去かこ現在げんざい未来みらい、なんでもいてわからないことはないといううらなしゃがありました。
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おんなは、さっそくそのうらなしゃのところへいって、自分じぶんんだ子供こどものことをばてもらいました。うらなしゃは、んだ子供こども過去かこ現在げんざい未来みらいかたりました。
星の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いたがその過去かこに、どんなひどいめにあわされてきたかとうたがったことに、すこしのふしぎもなかったからです。しかし、つくえはそのことについてかたりはじめました。
春さきの古物店 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとき、たびからきた上手じょうずうらなしゃがありました。そのおとこは、過去かこいっさいのことをあてたばかりでなく、未来みらいのこともいっさいを秘術ひじゅつによってあてたのでありました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、それも、いつしか過去かこゆめとうすれ、えてゆくがありました。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かしの過去かこになかったことでありました。
大きなかしの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)