“遺物”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かたみ75.4%
ゐぶつ10.5%
いぶつ8.8%
ゆいもつ3.5%
がたみ1.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「世の中は計りがたい」と、ひどく無常を感じ、一門の親類をよんで、出立の前夜、家財宝物など、のこらず遺物かたみわけしてしまった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私はちよつとにがい笑ひになつた。おばあさんの貯金帳には次兄の遺物ゐぶつを賣り拂つたお金が、三百圓そこそこしか殘つてゐない筈だつた。
おばあさん (旧字旧仮名) / ささきふさ(著)
たとへば越中えつちゆう氷見ひみ大洞穴だいどうけつなかには、いまちひさいやしろまつられてありますが、そのあななかから石器時代せつきじだい遺物いぶつがたくさんにました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
頂戴物やら先祖の遺物ゆいもつまで何もも遣い果し、しまいには私の身体まで売ろうとして、私をだまして悪いとこへ沈めようと掛りましたくらいの磊落者らいらくものでございます、それでもたった一人の兄でございますから
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わしとは深い御縁があるので、生き遺物がたみとも思し召し、思い出の地の山水を絵付えつけして、特に丹精をこらしてつくられた香炉じゃが、寺に納めておけば、末代まで長く什宝じゅうほうとして伝わるであろうから——
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)