“地方”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ちほう32.6%
じかた17.4%
ちはう14.1%
ぢかた8.7%
いなか8.7%
ところ4.3%
じがた2.2%
ヂカタ2.2%
ゐなか2.2%
たび1.1%
ティフォン1.1%
テリトリ1.1%
ムラ1.1%
くに1.1%
はう1.1%
ティファン1.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「ここから、きたへ、きたへとんでゆけば、その地方ちほうられるようながする。ゆくなら今夜こんやにでも、すぐにとうではないか。」
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
この能登も、ここで一つの功を立てれば、いずれは地方じかた(本土)に二郡や半国の領地は持ちえて、都に一ト屋敷は構えるつもり……。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中央ちうあうおよび地方ちはう財政ざいせい整理緊縮せいりきんしゆく國債こくさい整理せいり國民こくみん消費節約せうひせつやくとが相俟あひまつて其效果そのかうくわもつと國際貸借こくさいたいしやくうへあらはれたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
今度の婆さんは一人ではなく、五六人が一列に並んで、揃ひの扇を翳しながら、地方ぢかたはなしに自分たちで歌を唄つては踊つてゐる。
二月堂の夕 (旧字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
何人なんぴとに断って、おれの妻と手紙の遣取やりとりをする。一応主人たるべきものに挨拶をしろ! 遣兼ねやしない……地方いなかうるさいからな。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『そりゃ、なるほど地方ところによっては、実に変梃な、滑稽きわまる人間もあるもので、それに、破廉恥漢だってざらにあろうさ!』
それでは先に靄の中へ隠れたのが藤さんのだ。そしてもう山を曲って、今は地方じがたの岬を望んで走っているのである。それにめねば収まりがつかない。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
其で、目あての獲物が脇の方へ廻る時分になると、対馬へなり、地方ヂカタへなり行つて、復そこで稼ぐ。壱岐のれふしだつて、やつぱりさうであつた。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
つて、間拍子まびやうしけた、看板かんばんをぶらりかさしたつてせた。が、地方ゐなかこととて、番號ばんがうもなくばつしろい。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
匆々そうそうしかし地方たびは有難くない。——そうした、ぞんきな、一すじな料簡をもつことにおいて西巻はかれより二十幾つも若い田代と相如あいしくものがあった。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
囚徒の頭と背とを支えていた二人の地方ティフォンは、頭から腕に、いっぱい熱い鮮血をあびていた。首のない屍体は、ガクッと前につんのめった。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
「これは九つの地方テリトリをあらわす標識プラウドだ。これを見ると、どこからきた兵隊だかすぐわかる」
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
かう言つた宮廷と、里方との交渉は、首里の芸能と、地方ムラの民俗芸術との間に、相互作用を容易ならしめたのである。
組踊り以前 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
よし此の地方くにが湿潤に過ぎるとしても
「へえ、林檎林が出来るか。だが、この界隈かいわいぢや昔から林檎つてことは聞かないな、俺等わしら地方はうにやかないんぢやないかね。なあにさ、そりや、どうせ旦那衆だんなしゆうの道楽だから何だつて構はないやうなもののな。」
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
彼女は、三番目の俥に積んできた棺に、夫の屍体をおさめることを頼んだが、地方ティファンに容れられなかった。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)