地方じがた)” の例文
それでは先に靄の中へ隠れたのが藤さんのだ。そしてもう山を曲って、今は地方じがたの岬を望んで走っているのである。それにめねば収まりがつかない。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
わざわざ御自身でおいでくだされて、あのうつけ者を婿養子むこようしにとのお言葉さえあるに、恐れ入ったただいまの御仕儀ごしぎ。これが尋常よのつねの兄じゃ弟じゃならば、当方は蔵前取りで貴殿は地方じがただ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
はるかの果てに地方じがたの山がっすら見える。小島の蔭に鳥貝を取る船がむれ帆をつらねている。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
小母さんも、「私ももう五六度写ったはずだがねえ。いつできるんだろう。まだ一枚もくれないのね」と突っ込む。それから小母さんは、向いの地方じがたへ渡って章坊と写真をった話をする。章坊は
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)